小さな本棚

□直音
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「お前は猫だ。今からお前は“ニャー”としか言えない。そしてネズミを追い駆けまわすんだ」
「うぐ…にゃああぁぁああっっ!!」
「何やってんだ、お前ら…」
オレが校長室に入った時に、上のようなやり取りが行われていた。
今、日向がニャーニャー言いながらネズミ(のおもちゃ)を追い駆けまわっている。
反応してるのは「浅はかなり」と言う椎名だけで、残りの此処に居るメンバー、ゆり、竹山、野田、TKはそれぞれ自分のことをしていて、見てすらいない。
「全く…何してたんだよ…」
頭を押さえながらオレは聞く。
取り敢えず、日向が、あまりにも可哀相な絵面になっているので、ネズミ(のおもちゃ)を渡してあげることにした。
「いやですね、音無さん、コイツが“オレの方が音無のことよく知ってる”だの、“音無はきっとオレのが良いに決まってる”だの言うものですから、ムカついて…。僕のが良いですよね、“僕の”音無さん?」
「“僕の”ってなんだ、“僕の”って」
取り敢えず、一番気になったことをつっこんでおく。
最近、直井は、此処に来ては日向と毎日のように喧嘩をしている。
喧嘩するくらいなら、此処に来なければ良いのに、と言ったら、「音無さんに会いたいですから」と笑って返された。その笑顔に流された訳だが…。
「お前、前回、これ以上日向を苛めるようだったら来んなってオレ言ったよな…?」
流石に、そろそろ喧嘩をやめてほしい。
オレが数えてるだけで20回以上している気がする。
「音無さんは、そいつのが良いって言うんですか…?」
「へ?」
予想の斜め上をいく反応を直井はした。
「僕は音無さんが好きで、音無さんを想ってやったのに!!」
そう言い捨てて直井は校長室から出て行った。日向をそのままにして。
「音無君、気分悪いから追い駆けて。後、日向君ウザいからついでに外に出してきて」
機嫌が悪いのか、すっぱり言うと、また銃の手入れに戻ってしまった。
後味が悪い、というのは同意なので、日向を校長室の外に出してから(たまたま校長室に入ろうとしていた大山に押しつけた)直井を探しに行くことにした。
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