*短編*


□雨宿り
2ページ/3ページ








「お、雨止んだ」



小降りにはなった雨脚

だけど止んではない



「……?」



不思議に思ったけど

何も言わないでおいた



「バカな女でィ
…都合の良い女扱いされてんのに気づいちゃいねェんですかィ」


「……大丈夫、気づいてるから
気づくしかなかったから…
だから……もう」



そう言ってる最中

泣きそうになった



「湿っぽい話聞きたかねェよ俺ァ
全く、アンタはバカだねィ
あんな奴のどこに惚れたんだか」





そう言って

小雨の中

歩いて行ってしまった



独特の話し方

甘いルックス

鋭くキツい事

平気で言う姿





「もしかして、貴方が沖田くん?」



止まった後ろ姿で確信した

このコが沖田くんか…



「よく、話聞いてるよ
土方さんから…
………それとタオルありがとう
洗濯して返すね」


「…今日も土方さんは仕事でィ
休みの日は今度の週末辺りだったと思いまさァ
別れ話ならその日にしなせェ」


「やっぱり今日も仕事、かぁ…
ありがとう、今日こそ自然消滅で
この付き合い終わらせようかと思って…」



話の途中で

歩き出した後ろ姿



「またねっ、真選組一番隊隊長の沖田総悟くん」



何も言わずに彼は去った

まだ、雨は止みそうにない

また、一人で雨宿りを続けた
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ