家族だって言って、

□1日目
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ピンポーン



「はいはいはい、」



こんな時間に宅配?

なんか頼んだっけか



ガチャ、



「はっ!?」


「…ただいま」


「おかえり、いやいやいやじゃなくて
風邪引くだろ、ほらよ…タオル持ってくるからちょっと待ってろ」



傘持ってなかったのか

そういや雨降ってたけど

そんな土砂降りになってたか

気づけなくて悪りいな

いやそんなこと思っても

コイツのバイト先なんか

知らねェぞ



「ほら、…てか着替えは?」


「…持ってる、」



そういって肩にかけてた

カバンを握りしめてた


その様子じゃ、



「かばんも?濡れてる、よな」


「…ごめんなさい?」


「…なんで疑問系?謝んなくていいから」


「……家族が出来ると思うと、嬉しくて
バイト先にもう服とか一式持ってってた
そしたらバイト終わったら雨降ってた
傘無かったし、歩いて行ける距離だと思ったけど結構降ってたから…」


「はいはい、怒んないから、てか
電話してくれれば良かったじゃん」


「…え」


「…え?電話くれれば迎えくらい行ったぜ?ってこと」


「…そうなの?」


「あのなァ、親子ってそんなモンだろ?頼れよな、……」


「………ありがと
なんだかんだでちゃんとお父さんしてくれるんですね」


「誰だよパパになってって言い出した奴は
もう風呂入れ、飯は?食った?」


「…ご飯良いの?」


「何度も言わせんな
ちゃんとお父さん演じてやるよ」


「………いただきます、」


「好き嫌いすんなよ」



大丈夫、

そう言った奴の笑顔に

家族になってやるのも

良いかなて思った
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