*短編*


□愛情表現
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苦手なものは

いつまででも

苦手なままだ



こうやって見つめあって

気持ちが昂って



「…………お前さん、
何考えてんだか俺にはさっぱり分かんねェな」


「………………ぁ、の」



苦手分野なんだ

言葉にするのも

相手に伝えるのも


恥ずかしさと照れが

私の勇気を邪魔して

また口を閉じるだけ



「いつも黙って抱かれて、
お前さんは楽しいか?」



顔が赤くなった

そりゃもちろん

楽しい、というより

幸せって言えばいいのかな

好きだから、



「高杉さんは、楽しくないですか
私じゃ、つまらないですか?」



質問に質問で返してしまう

私の考えは言わないくせに

相手の考えは知りたいとか



「ふっ…はぐらかすのも得意だな」


「高杉さんこそ、」


「……そうか?
惚れた奴のならどんな表情も堪らねぇよ、」



妖しげに微笑む顔に

色気がたまらなくて


答えてくれたんだから

優しさに甘えるだけじゃなくて

私も、私からも

恥ずかしさと照れは消えないけど



「……愛してます
だから、私は…どんな高杉さんもどんな……」





せっかく言おうと思ったのに

塞がれて言葉は消えてしまう


とてつもなく甘い口づけで

また貴方しか見えなくなる



「ありがとな、」



その言葉も

その表情も

今は私だけに、
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