*短編*
□終止符
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あの隊服を着た彼が
町を速足に歩いて行った
今日も彼を見る事が出来た
なんて運が良いのだろう
自然と顔がニヤけてしまう
相変わらずかっこいいよなぁ
彼はきっと私の事なんて
知らなくてただの通行人
それだけの存在でも良かった
貴方を見る事が出来ればそれで
幸せだったの
「ねぇ、銀さん」
あまり機嫌が良くないみたい
視線を私に向けずに返事する
「……何か用?」
「真選組と仲良いの?」
「良いワケねェだろ」
やっぱりそう言うと思った
仲が良いワケじゃないんだ
仲良かったら良かったで
大変だったと思うけど
今の関係が心地良いから
私は彼を眺めるだけで良い
それ以上になりたいなんて
どうか
思ってないって事にしておいて
「あ…銀さん、……その…告白の返事の件なんだけど、」
そう言った途端
急に顔を向けて
真剣な表情を見せてくる
「あやふやにしててごめんね
返事するの遅くなってごめんね
…………私なんかでよければ
是非付き合ってください」
お願い、忘れさせて
叶わない恋を続ける勇気が
私には無いから。
これからきっと銀さんの事
好きになるから。
泣きたくなったのさえ
気のせいだと思い込んだの
もう、疲れちゃった
片想いなんて、
疲れちゃったよ………
『これで良かった』
そう思えたら
立派でしょ?