*短編*


□雨宿り
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ザァァァ…



「………参った、な」



急な土砂降り

近くの商店街


あーあ、

結構濡れちゃったな

服が肌に密着して

余計に気分が沈んだ



待ち合わせ時間5分過ぎ

まだ来ない人


屋根から雨水が滴り落ちる

店内に入る気にはなれない

ただぼーっと景色を眺めた





バシャッ



「あー…だり」



隣に人が駆け込んできた

隊服をバサバサと仰ぐ彼

栗色の髪からも

水滴は零れてた

濡れた衣服と肌

徐々に冷えてく



「へくしゅんっ」



くしゃみを止められなかった

隣に居た彼と目が合った



「……すみません」



無言で二人

見つめ合ったままの

空気が嫌で呟いた一言


すると彼は

どこからか持っていた

タオルを差し出してくれた



「使った後のヤツで申し訳ねェが…そのままよりはマシだろィ」


「…あ、りがとうございます」



差し出されたタオルを

受け取って

髪を軽く拭かせてもらった

服は、もういい



「お嬢さん、今日はデートでも?
あいにくの天気だねィ」


「…デートと言えばデートになる……のかな?
私は別れ話しようと思って、今日会う約束したんですけど…やっぱり来てくれなくて」


「……へぇ、
相手にゃ別れる気がねェってか」


「…そうなんですかね?
私からデート誘った時はいつもこうなんです
来てくれた事なんて無くて…
だから…都合悪いのかなって」
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