短編

□婚活鬼
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「千景様!千景様!」


「そんなに慌ててどうしたのだ・・・」


呆れ混じりの口調で尋ねる千景様。


私は南奈。

それ以外は知らなかった。

千景様に拾っていただいて知ったのは

私は【鬼】なんだって。

純血なのか、そうでないのか

詳しい事は分らない。

だって京の都の裏道に捨てられていたんだもの・・・

千景様に拾っていただいたのは5つの時。

あれから、数年・・・


千景様とその家臣の天霧さんと、なんでかよくわかんないけど匡ちゃんと旅してる。

旅というか、千景様が薩摩藩に恩を返すとか
そのために行動しているんだけどね。


「あのですね、こんかつき ってなんですか?」


「・・・は?」


固まる千景様。

あれ、まずいこと言った?


「匡ちゃんが、千景様はこんかつきだって・・・でもどういう事か教えてくれなくて。
千景様に教えてもらえって!」


私が事情を説明すると、千景様はニヤリと怪しく笑う。


「ほう・・・不知火め、さほど俺に仕置きをしてほしいと見える。」


「お仕置きっ!?」


匡ちゃんがお仕置きされちゃう!


「南奈〜こんかつきの意味分ったか??」

にやにやと愉快そうにやってくる匡ちゃん。

「匡ちゃん、逃げて!お仕置きされちゃうよ!」


私は危険を知らせる為、匡ちゃんに向かって叫ぶ。


「はあ?なんだそれ」


意味がわからないというふうに顔をしかめたときには・・・


あはははははは♪


ご愁傷さまです!


私はその場を離れ、天霧さんの所へ向かう。


「天霧さん、天霧さん!こんかつきの意味教えてください!」


「こんかつき、ですか・・・?」


頭上に疑問符を浮かべながら、こんかつきを口にする天霧さん。


「はい!匡ちゃんが、千景様はこんかつきだって!」


その言葉を聞くと、彼は不知火ですか・・・と呆れたように呟く。
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