短編

□平等
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「くっ・・・」

「総司っ!」

暴走した羅刹隊。

私と総司だけではなかなか無理がある。

それに彼は労咳という死病を患っている。

だから、本来の力を発揮する事が出来ないのだ。

肩から血を流す彼をかばいながら、私は目の前の敵を斬った。

だが、キリがない。

「くそっ・・・雑魚どもが・・・」

「南奈・・・ごめん・・・」

嫌な予感がした。

後ろを振り向くと
彼は小瓶の蓋を開けている。

中の赤い液体がゆらゆらと揺れる。

彼は一瞬躊躇いながら

それを口の中へ運んだ。

「総司!あんた・・・」

数秒苦しんだ後

彼は目の前の暴走した羅刹達を

一瞬で全滅させた。

「ごめんね、南奈。君との約束、守れなかった。」

赤い瞳が悲しそうに揺らぐ。

私は

私は、何時だって貴方と並んでいたいよ。

同じ位置で 同じ立場で在りたい。

だからっ

「南奈っ!?」

「私も、約束、守れないや。」

赤い液体を 何の躊躇いもなく 身体へ注いだ。

彼と同じく 赤い瞳と色素を失った髪。

私は、彼と同じなのだ。

「総司と、同じ位置で同じ立場で在りたいの。
大好きだから・・・。」

お互いの約束を

お互いで破った

罪深き二人

私たちは

いつだって

平等なのだ。


「南奈・・・」

彼は苦しそうに

私を

強く強く

抱きしめた。
 

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