短編

□白銀の刃
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「そう・・・じ・・・?」

この目の前の光景は何だろう。
どうして、何で・・・

目の前に居るこの人は誰??


色素を失った白い髪の毛

血の様に赤く染まった瞳

一瞬、誰か分らないけれど

愛しい人の面影がそこには在った。

嘘だと言ってほしい。

返り血を浴びている彼は

手に纏わりつく血液を美味しそうに舐めとっている。

周りにゴロゴロと転がっている亡骸は

彼の部下である一番組隊士のものだ。

彼は・・・

新選組一番組組長

沖田 総司は

変若水を飲み 羅刹となり下がった。

そして、自分の部下を手にかけた。

血に飢えて

荒れ狂った

彼の姿が

ただ

悲しい・・・。

「総司っ・・・なんで・・・。」


「ぐっ・・・南奈・・・?」

まだ理性が残っているのか
苦しそうにこちらに視線を向けた。

彼は悲しそうに微笑む。

「僕、労咳なんだって・・・ぐ・・うっ・・・
これを飲んだら、治るって山南さんが言ってたんだ。
だけど・・・あはは。失敗だったみたい。」

ああ、そうだ。
彼は新選組の為なら何だってするのだ。
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