短編

□僕が・・・
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「お前は同じ新選組。それ以上でもそれ以下でもない」

「そう、ですよね・・・ごめんなさい。」

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「ッ・・・うっ、ぅ・・・グスッ・・・」


泣いちゃダメ
泣いちゃダメよ。

仕方ないこと、当然のこと。
私たちは戦わなきゃいけない
色恋沙汰なんで、いけないことだもの。

だから、早く涙止まって。

一さん・・・!!

好き、だよ。

叶わないことくらい、分ってたけど・・・!!


「ッ・・・ぅッ・・・・ッ」


ひらひらと舞い踊る雪が

目の前の雪景色が酷く綺麗で

なぜか切なくて

胸が締め付けられる


「南奈ちゃん・・・?」


「っ!・・・おき、たさん」


声のした方へ視線を向けると其処には心配そうな顔をした沖田さん。

私は泣いてる事が悟られないように必死に声色をいつもどおりに戻す。


なのに


「斉藤君?」


「えっ」


その一言で
崩れた

ブワッとあふれ出す涙は雪と一緒に溶けていく

ココロが冷え切るように胸がヒヤリとする

手が震える

「分かって、ました。無理な事くらい。
だけど、好きで、好きでッ・・・」

気づいたら口から零れだす言葉
沖田さんはそっと近づいてきて、私を抱きしめた。


「泣かないで、南奈ちゃん」


「お、きたッ・・・さんッ?」


沖田さんは右手で私の左手を包んだ


「君の冷えたその手も身体も心も
僕がずっと暖めてあげるから・・・
だから泣かないで」


そう言って沖田さんは左手で私を強く強く抱きしめた

暖かくて
暖かくて

ずるいのは分かってるけど
この人に甘えてしまおうと思った


「おきた、さんっ・・・」


「南奈ちゃん・・・」


沖田さんの声は近くに居ないと聞き取れないくらいか細くて

この人が雪と一緒に冷たくなってしまわないように

右手でしっかりと抱きしめた

 
 
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