愛別離苦
□元治二年二月 3
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*主人公SIDE*
スー、スーと静かで規則正しい呼吸。
音を立てないように、そっと近くに腰を下ろす。
「千鶴・・・幸せになってね。」
優しく頭を撫でて、自室に戻った。
布団を丁寧に畳む。
最低限必要なものしか置いていない僕の部屋。
布団を押入れに入れ、僕は小さく【元・自室】に別れを告げ
屯所を出た。
しばらく京の町・・・中道を選んで歩く。
ふむ。
思い切って出てきたものの、千景さん何処?
ああああ・・・僕ってかなりの考えなし?
いや、気で探れば何とか探せるかもしれないし・・・
うーん。
あっ!お千のところに・・・って言っても夜遅いしなぁ。
「はぁ・・・僕って相当馬鹿じゃん。」
間抜けな自分にあきれるよ、ほんと・・・
仕方ない、体力は使うが気で探すかあ。
あまり遠距離は無理だったりするんだけどね・・・
目を閉じ集中する
・・・ん?
すぐ近くに強い鬼の気。
・・・3つ?
近づいてくる
1つはきっと
千景さんのものだ。
「っ!!!」
背後に気配を感じ、振り返ると3つの影。