薄桜鬼小説2

□月に魅せられて
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夜、巡察を終えて屯所に帰ってきた僕は夜の暗闇の中に浮かび上がっている人影を見つけた。

薄い寝間着のままで縁側に腰掛け、足の裏を惜しげもなく地面につけている。
「一君」そっと呼ぶと、嬉しそうに微笑みながらこちらを見る。

そのまま僕は一君のとなりに腰掛ける―ちょうど風が通り、身体が小刻みに震える。
するとそれに気づいたのか、ためらいもなく僕の手をつかむ。


「え、あっ、ちょっと―!!」


強引にからめ合わされる指と指、包み込むようにからんでいる指はとてもあたたかい。
ご機嫌そうに顔を少し赤らめて、微笑んでいる姿は滅多に見れないからか、こちらの心臓がヤバイ。

何を見ているのかとふと空を見上げると、そばにある木の枝々の間に影一つ表さず光る月。


きれい―…だけど……

「なんだか枝に縛られてるみたい……」


ハッとしてとなりの一君を見ると、先ほどと変わらない顔で「そうか??」と言った。

こちらを向いて、笑う。


「俺には月が枝に魅せられているように見える」


顔が赤くなる。なんで今日はこんなに笑うんだ。


月に魅せられて

(月枝でありたいと思う僕)
(聖夜にあなたと笑えて幸せだよ)


fin

筆.空流 遅れてごめんなさい
 

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