薄桜鬼小説2

□あなたが好きすぎて
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やっと仕事も終わり、
一休みしようかと筆を置いた時襖が開いた。




「失礼します。」




そう言って、
盆の上に湯気の立つお茶を持った祥が部屋の中に入ってくる。




「かたじけない。」




そう言うと、
顔を真っ赤にさせて下を向く。


――いつもは。




「あの……朝、ごめんなさい。」




真っ赤な顔で、
でも少し哀しそうな顔で祥は言った。


すぐに検討は付く。




「大丈夫だ。気にするな。」




そう答えると、
一気に熟れたりんごのように顔を真っ赤にする。


その様子が愛らしくて、
つい手を伸ばし、
頭を撫でた。


柔らかい髪が気持ち良い。




「……私、斉藤さんに会えなくて寂しかったです。」




ポツリとこぼした祥の言葉。


下から上目づかいに告白する言葉に祥の顔はどんどん赤くなっている。




「……さびしかった……ですか??」




少し不安そう、
でも何か期待するかの声に俺は少し笑った。


いつもひかえめで、
他の者がいる前ではなかなか話もできず、
自分からめったに離してくれない祥が、
自分から真っ赤になりながら精一杯言ってくれたのは嬉しかった。




「……あぁ。」




そう答え、
祥に腕を伸ばして抱え込む。




驚いたようにビクリと動いた小さな体は、
ゆっくりとかたさをなくす。




「お前が俺の全てだ。」




耳元で囁く言葉。


本当はこんな簡単な言葉で表せないほどの気持ちに
斉藤自身もどうにかなってしまいそうだった。


ただ愛しくて、可愛らしくて、真っ赤なこの娘をいつまでも抱きしめていたくて、
自分を求めてくれる嬉しさと、
愛されている嬉しさが重なり合って、
この上なく幸せな時間が流れていた。




あなたが好きすぎて



 ―Fin.― 




1.とってもおもしろかった
2.おもしろかった
3.まぁまぁ
4.びみょ…
5.つまんない



番号だけでもいいですし、コメントが付くととっても嬉しいです。



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