薄桜鬼

□寝起きの悪さは人一倍
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今日はとても寒い。


部屋の中も寒く、
温かい布団で寝ようと思い勢いよく足を入れた祥は
飛びあがった。




(――冷たっ!!)




冬の布団はすぐには温かくならない。


はっきり言って部屋の中より寒い。




(うー、寒いなー……。
毛布はここにはないし……。)




部屋を見回した祥はある一点に手を止める。




(……一君。)




隣には静かにすーすーと眠る一君。


はっきり言って温かそうだ。


そっと音をたてないように、
律儀に自分の所とは反対側の部屋の隅にしかれた布団に忍び寄る。


寝ていることを確認。




そして一気に自分も布団の中に入った。




(あったかーい!!!)




一君の体温はぽかぽかだ。


足先まで冷えていたので、
もう嬉しくてたまらない。


一君の寝巻を掴みながら胸に顔を埋める。


すると、
冷たかったのか「ん……」と微かに声を出す一君。


あっと思い、
慌ててはなれる。


いきなり体に冷たいものが触れたので驚いたのだろう。


こういう時はもともとぽかぽかの人はあまり嬉しくないはずだ。




「あっ……ごめんね。」




ポソッと呟き、布団から出る。


そして頭に手を伸ばしてよしよしと撫でた。




その時、「祥……??」と呟いて目を開けた一君。




「うわっ!!」




慌てて手を離す。


さらりとやってしまったが、
自分は14で相手は19。


流石に失礼だろう。




勢いよく手を引っ込むが、
パシっと良い音を立てて掴まれる。




「あわわわわ……!!
ごめんなさいっ!!」




謝り、顔を見ると寝起きの子供のように目を半分とじている一君。


目をとろんとさせていて、
全く反応しない。




「えっ、一君……??」




呼んでも反応しない一君にちょっと不安になる。




「ねぇ、ちょっと、どうし……えっ!!」




今度はいきなり布団の中に入れられた。


子供の祥には驚くほどの力でひっぱり、
まるで一君の抱き枕のようになる祥。




「祥……。」

「なに??」




そしてコテンと頭が落ちて、
また寝始める。




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