薄桜鬼

□初めて唇で「すき」をなぞったとき
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(ヤバい……!!
ぎりぎりセーフ!!)




私は今、押入れにいる。


一君の隠してた『春本』を片手に。




(咄嗟だからって、
なんで持ってるのよ私!!)




後悔先立たず。


今まで驚きのあまり、
春本の表紙のオネーサンと睨めっこをしていが、
いきなり聞こえた足音に急いで押入れに入ったのだ。




(外に行けばよかったのに……!!

一君、
入ってきちゃったよ……。)




もしばれたらどうなってしまうだろう。


きっと真面目な一君のことだ。


顔を真っ赤にして、
謝るだろう。


ヘタしたら切腹だってしかねない。


とにかく、
このことを無かったことにするためにも、
一君にばれてはいけない。


私は押入れの襖に小さな穴を開け、
そこから部屋を覗き込んだ。




■■■
■■



(気のせい……か??)




なぜか紙がこすれるような音が
聞こえた気がする。


斉藤は首をかしげると、
しゃがみ、
書棚に本をしまった。




そして本をしまい終えると、
浅葱色の羽織を脱ぎ、
畳んで書棚の隣に置いた。


額にも手を当て、
頭のまわりに巻いてたものも外す。


そして、それは羽織の上に置く。


すると、
そのまま畳の上に寝転んだ。


斉藤はふてくされていた。


祥はどこにもいないし、
久しぶりだと言うのに会いに来てくれない。


そのまま、
腕を枕にし横向きに寝転がる。


そのまま、
目をつぶり寝てしまった。




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