薄桜鬼
□幽霊騒動記
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夜の外に出るたびに、
なんで江戸の夜はこんなに暗いんだろうと思う。
灯り一つない暗い道に、
自分の足音だけが響くのは本当に怖い。
振り向いたら、
誰かが笑いながら見てそうな気がしてならない。
話変わり、さっきから気になっていること。
……一君、僕の3歩後ろにいる髪の毛だらりで笑ってる女の人は誰でしょうか??
ここにいない一君に心の中で話しかけつつ、
恐怖をこらえてゆっくり振り向いた。
「そこの方、どうなされ…………キャアアアアアアアアアア!!!」
まず最初に思ったこと。
目がない。
鼻がない。
足がない。
歯がない。
振り向いた瞬間に見つめあった。
いつのまにか、真後ろにいたのだ。
長くてばさばさの髪の毛の間から見えた顔には血まみれで、土のような色をしている。
あっ、僕こんなに女の子らしい悲鳴とか出来るんだ。
そんなうっすらとした現実逃避しながら、
髪の毛だらりのお姉さんに目のない目で見つめられながら、
祥は気絶した。