短編
□確信犯罪者
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快晴の下、絵に描いたような日本庭園の縁側に二人はいた。極卒は来るなり腰をかけやはりにやにやと笑っている。そんな極卒を見下ろすように中路は立っていた。
「この国は狂っている」
唐突に始まる話題は、あまり和やかなものとはいえない。
「ええ、わたくしもそのように思います」
にやにやと笑うその口に、時折不気味な音を混ぜながら極卒はナカジを見上げている。
「ならば何故お前は帝へ仕える」
中路は額に皺を寄せ極卒を睨むように見た。
「仕えるべき、だからです」
「やはり狂っているな」
その視線を気にも止めない極卒。中路は少し息を吐き、何かを諦めたようにゆっくりと目蓋を閉じた。
「あなたもですよ、確信犯罪者さん」
地面に向かって呟かれた言葉は彼に届いたのだろうか。