短編

□中古ゲーム
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「珍しいな、お前がそういうもので遊ぶなど」

ジリジリと時折揺れる光は、普段は映さないゲーム画面を移しだしていた。

「なのこが暇だというので買ってきたのですよ」

古めかしいその光に合わせたように、ピコピコと動くゲームはとても昔のものである。

「それで、何故お前がやっている」
「そんな古臭いゲームやりたくないわ、だそうですよ」
「まあそうなるな」

そもそもゴクソツが遊んでいるのは格闘ゲームだ。おんなのこの趣味でないのは明らかである。

「楽しいのか」
「それなりには。…ああ、敗けてしまいました。僕のロボのがずっと性能が良い」

敗けたのが悔しいのかゴクソツは何事かを呟いているようだった。

「楽しいのか」

ナカジは同じことを尋ねる。

「ナカジくんもやってみます?」

きょひょ、と笑いながらナカジを見るゴクソツ。

「そしたらお前はつまらないな」
「ひひひひっ!よくおわかりで!」
「俺には玩具があるから遠慮する」
「ええ、ええ!是非そうしてくださいな!」

ゴクソツの笑い声が響く部屋、中古ゲームはただのゴミになった。



(玩具はお前)(心行く迄あそびましょう!)


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