0806過去作品(委託)

重ねる重ねる
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はじめての出会いは中学生。しゃべらない人間なんて珍しいものは知らなかった。これが興味の一番最初。

そのまま重ねて、時間をかけて友達になった。わからない言葉を理解したいと思ってどれだけ一緒にいただろう。部活は違ったから、帰りやその時間は別だったけど、学校にいる間はほとんど一緒にいて、水戸部のことを見ていたような気がする。

だんだんと、俺は水戸部の言葉がわかるようになった。それは俺の欲しかったもので、凄く凄く嬉しいことだった。
水戸部のことが少し理解できた気がした。

中学を卒業して、今度は高校で一緒に過ごした。新設高校で、部活を水戸部と同じバスケ部にしようと意気込んで。バスケ部がなかったり、新設したり、てんやわんやと過ごしたが、水戸部と一緒に、たくさんの時間を過ごした。

新入生が入って、皆と一緒に、ウィンターカップに。もちろん、水戸部も一緒で。

これから、俺たちはたくさんのことをしていくのだろう。その時に、今までのように、水戸部と一緒に、いたい。



『重ねる重ねる』



「だから、一緒にいても、いいですか?」

俺は水戸部に手を伸ばした。泣きそうになりながらのそれを、水戸部は嬉しそうに笑って掴んだ。これからも、重ねて、なんて。

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