neta
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赤い長椅子に右脇腹から着地した。
どこからって、そんなのウチが知りたい。
一日目
四方を田んぼに囲まれた片田舎で育った。
家は村の権力者で、無駄に豪華にだだっ広く造った家の、離れでウチは匿われていた。
どういう経緯か想像もつかないが、ウチの祖父は異国の人らしい。隔世遺伝か、紅い目をしたウチは、外じゃ曳かれ者だから。
ずっとずっと、部屋の中。
そりゃ、暇で。退屈で。
こんな日常砕けてしまえと何度も願った。
願ったけれど、叶っちゃいけないことだと知っていた。
なのに、急に。
真っ白い光が目を貫いて、妙な浮遊感の後に投げ出されたのは真新しい畳敷。四畳半。畳を覆い尽くす極彩色の山。山。山。
薄茶の箱が積み重なり、それに被せた風呂敷の隙間から見たことないものばかり顔を覗かせた。
変わった形の綴は、光沢のある紙が貼られていて、微細に人の顔が描かれている。それが中で動いた気がして、気味悪くて手放した。
窓際には細身で透明な一輪挿しのようなものが並び、中には色とりどりの粘着質な液が波打つ。風呂敷にみえたのはどうやら派手な着物のようで、装飾品と覚しきものが近くに散らばっていた。ギヤマンの粒はウチの目の色だ。残念ながら綺麗とは思えない。
その他、全てが変なもの。
その中に一通。
ウチに宛てた手紙があった。