neta
□他人事ウサギの空耳日和
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抱き締められた途端に、身体がぶるりと震えた。
ポンッ
なんて、軽い音とはウラハラに、事態はかなり深刻だ。
他人事ウサギの空耳日和
最初は何が起こったのか分からなかった。
余命半年だなんて言われていた自分の身体は思いの外頑丈で、たびたび病院を抜け出し遊び回っていたわりに、既に余命宣告から一年がたっていた。
周りからはまだ死なないのかと言われ、ハーフなどと茶化され、二度、本気で死にかけた。
いや、実際死んだらしいし天国の祖母さまと船旅を楽しんだ覚えもあったが、何かの拍子で生き返ってしまったんだから仕方ない。
え、昔こんな深夜ドラマあったって?
でも生憎、泥棒はしたことないからそれが相違点。私の場合、フィクションではなくノンフィクションだったから、流石に犯罪には手を出さなかった。チキンじゃない。私は一介の常識人だ。
まぁ結局、三度目の正直でようやく私は天に召された。
はずだった。
顔はやつれてしまったが、安らかに目を閉じて、眠るようにサヨナラバイバイ。
なのに、瞼の裏の真っ黒の向こう岸に見えたものは、いつか旅した祖母さまでも、神様でも仏様でも閻魔様でもなく。
歓声をあげた産婆さんだった。