neta

山中さん家の武くん
1ページ/4ページ


ゴキャッ

「ぐぁっ!!」


夜の廃倉庫で悲鳴が上がった。
腕を縛られ地に伏しているのはスーツ姿の冴えない男。

彼を襲ったらしい集団の一人が、彼の持ち物からパスケースを取り出し何かを確認する。

が。


「山中武…?」


訝しげに免許証と本人を見比べる。その声はあからさまに苛立っていた。


「ボンゴレの雨の守護者てのは確か…」

「山本武だよ!こいつ間違えやがった」

「も、申し訳ありません!」


どうやら人違いらしい。

縛られた彼は恐る恐る周りを見上げるが、どうにもいい雰囲気ではない。
間違えられた方に何の罪もないが、それでも周りの男たちの威圧感に耐え兼ねてか、ただ助けを請うばかりだ。

色の浅黒い、大きな鎌を持った大男が彼の目の前へ立つ。


「この憐れな山中はどーする?」


全く憐れと思っていない声色で、男は問いかけた。


「情をかけてやれ」

「情ってのは愛情じゃねーよな」

「あぁ……非情の方な」









act.1





 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ