neta
□山中さん家の武くん
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ゴキャッ
「ぐぁっ!!」
夜の廃倉庫で悲鳴が上がった。
腕を縛られ地に伏しているのはスーツ姿の冴えない男。
彼を襲ったらしい集団の一人が、彼の持ち物からパスケースを取り出し何かを確認する。
が。
「山中武…?」
訝しげに免許証と本人を見比べる。その声はあからさまに苛立っていた。
「ボンゴレの雨の守護者てのは確か…」
「山本武だよ!こいつ間違えやがった」
「も、申し訳ありません!」
どうやら人違いらしい。
縛られた彼は恐る恐る周りを見上げるが、どうにもいい雰囲気ではない。
間違えられた方に何の罪もないが、それでも周りの男たちの威圧感に耐え兼ねてか、ただ助けを請うばかりだ。
色の浅黒い、大きな鎌を持った大男が彼の目の前へ立つ。
「この憐れな山中はどーする?」
全く憐れと思っていない声色で、男は問いかけた。
「情をかけてやれ」
「情ってのは愛情じゃねーよな」
「あぁ……非情の方な」
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