十万打企画
□弟子の師匠
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※『師匠の弟子』の弟子(オリキャラ)視点でお送りしますが、前作を読まなくても多分大丈夫ですのでご安心ください。
ざくっと設定↓
・魔法省務めの新人闇払い
・仕事の出来るアホの子
・名前は特にありません
・分りづらいので先に明かしますと、ハリーの一番弟子です
「…は?嫌っすよ、あんた仮にも師匠の親友なんでしょう?自分で言ってくださいよ」
仮にも先輩で仮にも上司なウィーズリーさんからのお達しは、非常に引き受けがたいものだった。
なので冷めた目できっぱり拒否させて頂いたのだが。
そんな涙目で見ないでほしい。童顔だけど貴方自分の年齢分かってますかアラサ―だよアラサ―。しかも子持ちだからねこの人。
「仕事が関われば赤の他人だからねって笑顔で言われたんだよこの間!」
「それもう断られてるんですよ、諦めてください」
「大丈夫、まだ大丈夫だから。後一押しで何とかなりそうだから」
「いや無理でしょう。だいたい私さっき任務済ませてきたじゃないですか、もうこんな部署こりごりですマフィアなんて大嫌いだ」
「そう言わないで、今めちゃくちゃ人手不足なんだよ。アレ一人で片づけられたのなら他の何て大したことないから、ね?」
「ね、じゃないです。上目づかいでも落ちませんからね!」
私は今、師匠命令で[マグル要人監護課]というところに臨時配属されていて、そこの上司がこのウィーズリーさんなのだが。
ぶっちゃけこれ以上居座るつもりは、ない。
いや、最初は面白そうかなとか思って寧ろ志願したくらいなのだが。少数部は居心地良いし。
でも今、猛烈に実家(闇払い本部)に帰りたい。
師匠並に腹黒い人を監護しながら何か世界征服をたくらむこれまた腹黒い人を相手取ったこの数か月を忘れはしない。
マグルにトラウマを植えつけられ芽をだし立派な花を咲かせた私の精神状態を少しは考えてほしい。
なのにこの上司は私の貸し出し期間を延長しろと、しかも私から師匠に直々にお願いしてくれと頼んでいるわけだ。
ふざけんな。
「まぁまぁ、無理強いは良くないわよ」
「ハーマイオニー先輩ぃ!今日も今日とて麗しいですねとても二児の母とは思えません、でもたまに垣間見せる家庭的な一面がたまりません!そんな貴女が大好きです!」
「あら、ありがとう」
「別に無理強いじゃないよ、上司命令だから」
「奥さん来たとたん亭主関白ぶんないでくださーい。ねぇ、先輩今度一緒に合コン行きませんか?実力派の渋いの揃えておきますから!」
「面白そうね」
「旦那を前にして妻を合コンに誘うな。そして、行くなよ…?」
「何心配そうな顔してるのよ、情けないわね」
「だって、さ。君はその…魅力的だし、他の男の目が気にならないって言ったら、その、」
「馬鹿ねぇ、あなた以上に魅力的な人なんていないわよ」
「っっっ」
はーい、何か勝手にいちゃらぶしだしたので邪魔者は退散させてもらいます。
もうこのまま師匠の所に戻…りたくはないな。国際魔法協力部に行ってパーシーさんに愚痴ろう。うん、そうしよう。
「あ、帰るならその資料ハリーのとこに持って行って。ついでに配属期間の件もよろしく」
「はーい…、じゃない!いや、資料は良いっすけど」
「強情だなぁ。ね、ハーマイオニー、ちょっと」
「何?」
「‥‥‥から‥‥‥‥をさ、‥‥よ」
「はぁ、仕方ないわね」
「のォぅ!ちょ、ウィーズリーさんハーマイオニー先輩にそれ以上密着したら私の杖が火ぃ吹きますよ!」
「君、僕らの関係分かってる?」
「夫婦でしょう。羨ましいっ私もこんな奥さん欲しい!」
「いや、女だろ」
「分かりませんよ?描写がないから男の娘の可能性もなきにしもあらず!」
「男の子?」
「…あなたは知らなくて良いわ」
「とりあえずハーマイオニー先輩リスペクト!先輩は闇払い本部でもめちゃくちゃ人気ですよ。ご懐妊で引退なさった時は皆でウィーズリーさんの悪口言いながら飲み明かしたものです。ってことでウィーズリーさん、これからも夜道にお気を付け下さい!」
「怖い宣言するな!君、だんだんハリーに似てきてるよ」
「似てませんて。それだけは断固否定します」
「まぁまぁ、二人とも落ち着きなさい」
ぽん、と頭に手を乗せられた。
駄目、落ち着けない、興奮する。
こういう母性がたまんないんだよハーマイオニー先輩。優しくて聡明で美人でっ本当、ウィーズリーさんには勿体ない。
「無理なお願いだってのは分かってるわ。でも、要人監護課は何時だって人手不足なの。どうしてだか分かる?」
「ウィーズリーさんが人気無いんじゃないんですかね」
「それもあるとは思うけど」
「あるのかよ!」
「ちょっと黙っててあなた。此処が人手不足な一番の原因は、闇払いの中でも困難な任務が多いせいなの。マグルを相手にする人間性と、要人である彼らを守り抜く技量…マフィア相手に奮闘してくれたのなら、この難しさ、分かるわよね?」
「まぁ、はい。何度か死にかけましたし、精神的に」
「信じられないかもしれないけど、ここを志願する人は意外に居るのよ。でも、なかなか適した人材が見つからないから、貴方みたいに他から優秀な人物を回してもらって何とか成り立っているの」
「優秀だなんて、そんな」
「謙遜は良くないわ。私やロンもそう。口には出さないけど、ハリーだって貴方には期待してるのよ、胸を張りなさい」
「はい…!期待に応えれるよう頑張ります!」
「ふふ、ありがとう。じゃあ任期継続、お願いね」
「はい!」
優秀とか、私はハーマイオニー先輩どころか師匠の足元にも及びませんぜ。ウィーズリーさんには数年後に下剋上できるとは思うけど。
ってか期待されてるなんて、やばい、貴方の笑顔に興奮しすぎて鼻血吹きそう…………いやいやいやいや、ちょっと待て。
今、何て?
「じゃ、ハリーによろしく頼む!」
アンタの良い笑顔は正直イラッと来るんだけどウィーズリーさん。
じゃなくて!任期継続?しまった、騙された!