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□ソライロデイズ
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「はじめまして。よろしく願い下げです」
集まる視線を無視して、燕は教室を去った。
今日本日お日柄もよろしく、藍川燕はここ、並盛中学校に編入した。
編入したはいいものの、辟易していた。
――中学生って、こんなに稚拙なモンだったか。
これまで自分の周りにいた“学生”が、大人より大人びた、達観した人間ばかりだったから、余計にそう感じるのかもしれない。
理由はどうあれ、ストレスが溜まる。
ストレスは健康によろしくない。
こういう時は、空を見るに限る。
というわけで、自分の席を確認するどころか、自己紹介すらしないまま教室を飛び出したわけだ。
目指すは空が見える場所。
そして――
「見ぃつけた」
目当ての人物がタイミング良く屋上[空が見える場所]にいたことを確認して、燕はにまりと微笑んだ。