歌王子

□第1小節
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友達の話を聞いてよく思う。恋してて良いことなんてあるのかな?彼氏のあんなところが許せないだとか、こんなところにイライラするだとか。いつも聞くのはそんな愚痴ばっかりで。あの人が浮気してたの、なんていきなり泣きながら話し出す子だっているくらい。良いことなんて全然ない。聞いてるこっちがウンザリするんだもん。そんなに毎回毎回傷つくくらいなら、もう恋なんてやめてしまえばいいのに。なのにどうしてみんなはまた新しい恋を始めるの?私はまだ経験していないこの気持ち。私にはわからないけれど、本当は悪いことばかりじゃないのかも。なんて思う、今日この頃。


『ってなんじゃこりゃー!!自分で決めたテーマがテーマなだけにムズムズする、残念でとてつもなくしょーもない詞が出来てしまった…。』

翔「うーん、なんかお前のイメージと違うよな。しかも絶対この後甘酸っぱい展開になりそうだし。」

『しょしょしょ、翔ちゃんー!?なに見てんだよ恥ずかしーだろ!いますぐ記憶から抹消しろ!!そして謝れ。』

翔「なんでだよ!いーじゃねーか別に、減るもんでもねーんだしよ。早く続き考えろよ、特別に俺様が見てやるよ!!」


そーいう問題じゃねーんだよ!!見なくていーんだよ!こんなところで特別扱いとかいらねーから!!しかもちゃんとこっちには減るもんがあるんだよ!私のHPが大幅に減るんだよ!!っつーかもう減ったよ!効果は抜群だ!瀕死状態だよ!!あぁー、マジで恥ずかしい。教室で課題やるのが間違いだった…。そもそも恋だの愛だのっていうテーマ自体が私にはムリだったんだよ。いますぐここから消えたい。トキヤとレンレンさんがいなくて良かった(実はこの後、翔ちゃんがみんなに言いふらしていたとかいないとか)。もう時間ないけどテーマ決め直そうかな…。もう一度言う、時間ないけど。……はぁ。


翔「まぁ、でも良いんじゃねーの?新しい侑李を見せるって感じで…。よくわかんねーけど。」

『わかんねーのかよ!!まぁでも、ありがとう。おかげでなんとか新しい私という言葉を糧に(自分に言い聞かせて)最後まで作り上げられそう。』

翔「おう!俺と違ってお前は1人で全部やんねーといけねーんだもんな。頑張れよ!!」

『………翔ちゃん。笑った顔めっさ可愛いな。私女の子やめたくなった。』

翔「はぁ!?ふざけたこと言ってんじゃねーよ!!」


残念だな翔ちゃん。私はいたって本気なのだよ、傷ついたのだよ!!しかも照れて顔が赤くなった翔ちゃんもめっさ可愛い。私なんかよりも全然女の子だ。なんなんだよ!私ホントなんなんだよ!!女装されたらマジで負けるぞ!(下手したら女装する前から負けている)あぁー、翔ちゃんフリフリのスカートとか似合いそうだよなー。まあ、マイエンジェルには負けるがな!!でも着せてみたいなー。んでキャーキャー言いながら写メ撮って待ち受けにしてー、トキヤたちにも待ち受けにしてもらおう。その後きっと私は自分の顔と待ち受けを見比べて立ち直れないくらいのダメージを受けるだろう…。


『よし、ダメージ覚悟でやってみるか。』

翔「え、なにを?」

『ふふっ、ひみつー。』

翔「怖ぇーよ!ニヤニヤしながら言うな!!」


失礼な!!これが私の顔なんだよ!マジで覚えてろよ!いろいろ準備ができたら思う存分翔ちゃんで遊んじゃうんだからな!!そのためにはまず衣装を用意しなくてはならない!!どんなんが良いかなー。メイドとかアリスとか良いよなー。あとはウィッグ用意しなきゃでしょ?あ、メイクもしたほうがより可愛くなるな!やべ、想像しただけでもなんだか楽しい!!実物見るの楽しみだなー、楽しみだなー。よし、さっさと準備しなくては!!ダッシュダッシュ!!


那「あれ?ユウちゃんなんだか楽しそうですねー!」

『なっちゃん!マサさん!わかるぅ?わかるぅ?』

真「芹沢、ニヤニヤしながら廊下を走ると怪しまれるぞ。」

『………聞かなかったことにする。』

那「なにか良いことでもあったんですか?」


よくぞ聞いてくれたなっちゃん!!私は気付いてしまったのだよ!翔ちゃんの可愛さに!性格が俺様だから、なおさら可愛さが目立つんですよ!!んで、どうやったらその可愛さを最大限に引き出せるかって考えた結果、もういっそのこと女の子になればいいよってことで女装させることにしたわけ。もちろん本人に了承なんて取ってないしこの話もまだしてない。休み時間に捕まえて無理矢理着替えてもらう作戦なのだ!いまのところアリスっぽいのを目指して計画中で衣装探ししようとしてたわけさ!!どーだ!楽しそうだろ!!


那「翔ちゃんがアリスさんに…。良いですねー。僕にもお手伝いさせてください!!」

『むしろお願いしたいくらいだよ!なっちゃん!』

那「あっ!!じゃあ真斗くんに衣装を作ってもらうのはどうですか?」

『どうですかって、マサさん裁縫できんのか!?』

真「あぁ、家庭科は得意だ。」


おいー!!ここにもいたよ私より女の子っぽい男の子が!!もう私の嫁に来てくれれば良いよ!恥ずかしながら私…裁縫できないから……。で、でも料理はできるぞ!!(だからどうした)……あれ、ちょっと待てよ?なっちゃんと私を比べたら、ふわふわとした女の子要素を持ってんのはなっちゃんの方なんじゃないだろうか。って考えると私どんだけ女の子からかけ離れた存在なんだ!!周りにいる男の子の方がよっぽど女の子だ!誰か私に女子力をください。


真「アリスのような衣装というのはわかったが、具体的な注文はあるのか?」

『え、聞いてくれるの!?じゃあねー、アリスだからベースは丸襟シャツにジャンパースカートでしょ?そんでー、色は翔ちゃんに似合うピンク!!もうクドいってくらい、ふんだんにフリルを使ってー。』

那「レースやリボンをたくさん使ったらきっと可愛いですよー!!」

『うんうん!それから、エプロンスカートとヘッドドレスも付けちゃおうか?パニエも忘れずに!』

那「良いですねー!靴下と靴は僕が用意しますね!!」

『ありがとう!靴下は縦縞が良いな!!靴はもちろん厚底で!ウィッグとメイク道具は私が用意するよ!!』

真「なんだか、本格的だな…。」


いやー、強力な仲間が2人も増えました!!これから楽しみですなー翔ちゃん!!(翔ちゃんにとってはいい迷惑)私ってば明日からなにがあってもある程度のことなら頑張れる気がする。だって近いうちにご褒美と言っても過言ではないくらいの素晴らしいものを見ることができるんだから!!衣装ができあがるのは2週間後なんだってさ。マサさんに、申し訳ないが2週間待ってくれって言われたけど2週間って早い方だよね!?むしろマサさんにだって自分の課題があるのに2週間で出来上がるってあなた裁縫のプロなんですか?まあ、その間に私はあの恥ずかしい自分の課題を済ませようと思う。もうそれはそれは聞いてる方が恥ずかしいってくらいの完璧な詞にしてやるよ!!(吹っ切れた)


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