歌王子
□第1小節
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どーも。すっげー倍率の芸能専門学校であるここ早乙女学園に、なんやかんやで入学することになりました。Sクラス所属の芹沢侑李、15歳です。得意楽器はドラム!…え?誰に話しかけてるんだって?しらねーよ。なんか説明しなきゃって思ったんだよ!まぁたいしたことは説明してないけどな…。
さて話は変わって、いま私がどこにいてどこを目指しているのか、みなさんはご存じだろうか。私自身、いま自分がどこにいるのか全くわからんのだ。はて、入学式が終わったから自分のクラスを目指していたはずなのだが…。みんなについて行けば大丈夫だって思っていたのが間違いだった。林檎ちゃんかわえーとか、学園長ってなんかいろいろとぶっ飛んでる人だったなーとか、マジ林檎ちゃんかわえーとか、龍也さんカッケーとか、やっぱり林檎ちゃんかわえーとか、この学校無駄にでけぇーなーとか、惚れるくらい林檎ちゃんかryなんて考えながらキョロキョロしてたらあっという間に人がいなくなっていたよ。ちょっ、待てよ!みんな速ぇーよ!!この歳で迷子とかさすがにキツい。笑えない。あーもう…、
『誰か助けてぇぇぇぇ「うるせぇぇぇ!!」
『ん?』
??「ん?じゃねーぞ。なに教室の前で叫んでんだ。Sクラスの芹沢侑李だろ?お前待ちだからさっさと入れ!!HR始めんぞ。」
え、なに?ここってSクラスの教室だったの?まじでかやったよ!着いてたんじゃん!!迷子じゃなかった!つか担任の先生って龍也さんなのか!テレビで見る龍也さんもカッコいいけど、入学式で遠くから見る龍也さんもカッコ良かったけど、近くで見る龍也さんはそれはそれはもう言葉にならないくらいにカッケー!!でも希望としてはやっぱり林檎ちゃんが担任だった方が私は吐血するほど喜んだだろうな。さてさて、そんじゃ空いてる席に座ればいいんですねーっと……。あれ?おかしいな。私の席ねーぞ。空いてる席が一つだけあるが、そこは私の席ではないはずだと願いたい。
『せんせー。私の席がありません。』
龍「なに言ってんだ、そこの席が空いてるだろ。」
『せんせー。私の席がありません。』
龍「窓側の一番後ろが空いてるだろ。」
『せんせー。私のs「いいから早く座れ。」
え?なにこれ罰ゲーム?おかしいだろ。普通、窓側の一番後ろの席というのは誰もが憧れる席なんだぞ!前側の席の人たちに隠れて授業中に寝れるし、窓側だからお日さまだって味方なんだぜ!なんて幸せな席!!しかし、いまの私には地獄の席でしかないのだ。どれくらい地獄かってーと、その席に座るくらいなら教卓の前の席の方がいいぜ!!ってくらい地獄っていうのは言い過ぎた。とにかく私にとってあの席はダメだ。教卓の前の席もダメだ。それもこれもこいつのせいなのだが…。いや、私のせいか?
『あ、あれ…?い、一ノ瀬さんじゃないっすか。偶然ダナー。席モ隣同士ダー。嬉シイナー』
ト「なぜあなたがここにいるんですか?それからここ最近、あなたは私の電話には一切でませんでしたよね。メールの返信もありませんでした。」
『そ、そうだっけー?気付かなかったんだなーきっと。ははは。』
なぜあなたがここにいるんですか?ってそれこっちのせりふー!!私だってトキヤが早乙女学園を受験してたなんて知らなかったぞ!っていうかどうすればいいんだよこれ!トキヤからの電話やメールはお母さんみたいで面倒くさいから無視してましたなんて言えねーよ!口が裂けても言えねー!!
ト「そうですか。面倒くさいですか。」
『ちょっ、トキヤさんいつからエスパー取得したんですか!?』
ト「声に出てましたよ。口が裂けても言えないこと。」
『なんてこった!!』
??「おや?イッチーはとなりのレディと知り合いかい?」
『は?となりのト○ロ?』
ト「誰もそんなこと言っていません。レン、紹介します。これは不本意ですが私のいとこです。」
『不本意ってどーゆー意味だこら。』
ト「不本意とは自分の本当の望みとはt『ちげーよ。私が聞きてーのはそこじゃねーよ。』
レ「俺は神宮寺レン。よろしくね、レディ。」
『はぁ、芹沢侑李です。ほどほどによろしくお願いします。』
レ「面白いことを言うね。レディは少し変わっている子なのかな?」
『誉めてるんですか?』
ト「貶しているんです。」
『おい。しかもなぜお前が答える。』
なんだなんだ?怒ってんのか?即答だったぞトキヤの奴。どうした。電話とメールの件をまだ根に持ってんのか?いつまで引きづってんだよまったくー。器の小さい男は嫌われるんだぞー。それともあれか?あれなのか?私がなかなか連絡を寄越さなかったから寂しくて拗ねてんのk「拗ねてません。」
『くそ。また声に出てたか。』
??「ふーん。あんま似てねーのな、お前ら。トキヤは迷子にならねーし。」
『おいおいなんだそこのちっさいの!!私だって迷子になんかなってねーよ!!』
??「よく言うぜ。助けてーって廊下で叫んでたじゃねーか。あとちっさい言うな!!」
『本当のことだろ!ちーb「侑李、うるさいですよ。おとなしくしていなさい。」
『なんで侑李だけなの!?ズルいよママ!』
ト「誰がママですかっ!!」
しょうがないだろ。トキヤの喋り方ってたまにお母さんみたいだから、からかいたくなるんだよ。まぁ面倒くさいって思うときもあるけどな。これからもぜひお母さんスキルをアップさせて、ゆくゆくは私の第2のママになればいいよ。小言がうるさいだろうけど。あー、お説教もなんかすげー長そうだよな…。やっぱり第2のママはやめとこうか自分のために。
翔「お前、面白い奴だな!!俺様の名前は来栖翔!!俺様の家来になr『イヤだ。』
翔「なっ、お前。せっかく俺様が誘ってやってんのに断るのか!」
『友達にならなってあげるぞー。』
翔「なってあげる?お前相当上から目線だな。」
『お前もな。』
レ「全く、2人とも仲良すぎて妬けちゃうね。」
翔「『どこがだ!!』」
かくして学園生活初日、いろいろとすったもんだがあったわけだが私は無事にクラスに辿り着き、友達を作ることに成功した。が、いまが何の時間かを忘れて騒いでいた私と翔ちゃんは龍也さんにこっぴどく叱られた。なんで侑李と翔ちゃんだけなの!?ズルいよパパ!とは怖くて言えなかった。龍也さんの背中越しに見えたトキヤの意地悪い笑顔を私は絶対に忘れないだろう。