短編集

□惣次郎の食卓
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惣次郎は大抵一人で夕飯を食べる。始めの頃は寂しかったが、慣れてくるとこれが意外に都合が良かったりして、最近ではわざと一人になるよう仕事をやりくりする程だ。

「お前さぁ…」
「あっ!そういえばこの前凄い綺麗なお姉さんが土方さんを訪ねてみえましたよ」
「誰だ?」
「お名前聞くの忘れてしまいました。」
「肝心なとこ抜けてちゃ意味ないだろうが!」
「済みません」

今日は珍しく、歳三が一緒に食べていた。何時もの通り、試衛館で一泊して明日帰るのだろう。
慣れた手付きでもう一膳仕度して、向かい合わせに食事を始めたのは少し前の事だ。

「おい、さっきから何で青菜食わないんだ?」

白飯も味噌汁も目刺しも減って行くのに、揚げと青菜の煮物の青菜だけが一向に減らない。

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