短編集
□一枚の写真
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「まぁ…そんな所です」
ごにょごにょと言い淀む総司を、土方は呆れたように見た。
「ふっ…」
「ああっ!!今私を馬鹿にしましたね?!土方さんこそ、本当は魂が抜かれるとか寿命が縮むとか、そんなとこなんじゃないんですか?」
「何?!」
だんっ!と畳を踏みつける激しい音と共に真っ赤な顔で勢いよく土方が立ち上がった。
「んな訳ねぇだろっ!」
「上から睨んだって怖くないですよ!」
姿勢を変える事なく、きちんと座ったまま、言い返す。隊士達が恐れる土方の一喝など、長い付き合いで慣れっこだ。怯む事なく平然としている。
「土方さんこそちゃんと理由を言って下さい。」
「言ったら行くか?」
「内容によります」
あくまでも姿勢を変えない総司に対し、態とらしく溜め息を吐いて、ドサリと胡坐をかくと、伏せ目がちに小さく呟いた。
「お前の写真が欲しかったんだよ」
一瞬、頭の中が真っ白になった。何だか物凄い事を言われた気がする。写真が欲しい──つまりは、近藤の護衛ついでに自分も写して来い、でもって出来たら寄越せと、云う事か。
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