SHORT STORY 制作

□Hard Epilogue
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その、数分後――



夕闇にさ迷う一隻の船は突如、噴火の如き火柱を上げ、暗い――夜の海に沈み――海の藻屑となった――







◆…◆






「――どの新聞も大した記事にはしてないな……テレビも当日の夜のニュースで悪天候が原因の海難事故程度にしか報道はしてなかったしな……」





エースは同僚の刑事が広げる新聞を、上からちらりと覗いたが、さして表情も変えずスーツの上着を着るとネクタイをくっと締め直した。







あの事件から3日が経っていた。




マスコミの報道には上がってはいたが、それは事実とは掛け離れたものであった。




エースは缶コーヒー飲み残しを煽り「行ってくる」と一言だけ言い残すと刑事課を後にした。




同僚は「気をつけろよ」と本心からとも思えぬ言葉をエースに掛けたが、その言葉は当のエースの耳には届いていなかった。




エースは足早にエレベーターコンコースに向かった。





上階へ向かう――





エレベーターに乗り、目的階に着くまでの間、エースはつらつらと事件の経緯と顛末を頭の中で整理した。






だが、真っ先に頭に浮かんだのは、赤々と炎を上げるフェリーの姿と、佐島の海岸に打ち上げられ、辛くも病院で命を取り留めたゾロの、ベッドに横たわる姿であった。








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