長編 巫女と死神

□巫女と死神【09】
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真っ赤に染まっていくあたしの体。





「檜佐木副隊長。彼女をこちらへ!」


卯の花さんが叫んだ。




「無駄ダ…ヒヒヒヒヒ…」
『…ッ…待っ、て…』



私はよろよろとホロウのもとに向かった。



「あかり…?」



皆私が何をしているのか分からないみたいだ。


それにも構わず、私はホロウのもとへ近づいた。



…片手には、矢。



「食ワレル気ニナッタノカ?」
『…ッ…』



目の前に立ち、矢を体に突き刺す。



「「「「「「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」」」」」」」





「ギャアアアアアア!!!小娘ェ!気様…ッ」




私が矢を突き刺したから、コイツが見えない

皆にとっては矢が浮いているように見える筈。




私は皆に向かって言った。



『コイ、ツ…』



ゴホッ!

と咳をすると、血が出てくる。


「あかり!」

『ホロ、ウ…』





出血や痛みで頭がくらくらする。



「貴様ァッ…!」



ホロウが私に近寄ってきている。


『…っは……何…よ…』




途切れ途切れになりながらも私は問う。




「…許サンゾ…小娘…ッ」

『…ッッ…!』




ピチャン…



ホロウが私に言った時、後ろで水音がした。



『…?』



不思議に思い、ゆっくりと後ろを向く。




『!?』




皆の後ろに、刀が見える。



私が持っていた、刀。



さっきと同じで浮いている。




私は目を見開いた。



それを見て皆が後ろを一斉に振り向く。








「「「「「「「「「「「「「「!!?」」」」」」」」」」」」」」」

しかもよく見たら、湖の水が真っ黒になっている。
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