Dream

□恋人の真実
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恋人の真実


「私、前から不思議に思ってることがあるんだけど」

ヒナが眉間に皺を寄せ、声のトーンを落として囁いた。

大学は休みだが、恋人である桂木は総理の公務に従い仕事中のため、暇をもてあましたヒナはSPルームを訪れていた。

そこにいたのは官邸居残り組のそらと海司。


「なになに?」

「なんだよ、いきなり」


ヒナの口調に、二人ともつられてひそひそ声になる。

他に誰もいないと分かっていても、内緒話のにおいがすれば自然と顔を寄せ合ってしまう。


「桂木さんって…怪我の治りがやけに早いような気がするんだけど…
あれって、普通なのかな?」

「あぁ…それは俺も思ってた」

「でしょー!?」


ヒナの疑問に同意する海司。
賛同を得たヒナは嬉しそうに先を続ける。


「テロリストに捕まった時だって、あんなにボコボコにされてたのに、普通にお父さんとお酒飲んだりしてたし…その後銃で撃たれた時だって、次の日にはピンピンしてたし。いくら頑丈って言ったっておかしいと思うんだけど…」

「まぁ、致命傷は避けてるってのはあるんだろうけど…それにしたって回復早いなぁと思ってたんだよ」

「だよねぇ…」

「前にも護衛対象かばって、突っ込んできた車に思いっきり吹っ飛ばされたけど、翌日には現場に復帰してたし…」

「えぇ!?」

「あん時はさすがに骨折れて入院するだろうと思ってたのに、かすり傷と打撲で済んだって本人は言っててさ」

体のつくりが人と違うのかもな、と海司が笑いながら呟く。

と、ここまで黙っていたそらが重たそうに口を開いた。


「そのこと、なんだけどさ…」


「え?」

「はい?」


普段のそらから考えられない、か細い囁きとためらいの表情に、ヒナと海司は振り向いた後で思わず真顔になってしまう。


「な、なんですか?」

「うん、班長って実は…」


もったいぶったそらの口調に、二人はゴクリと息を呑み、真剣に見つめる。



「サイボーグなんだ」




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