court recit
□過保護
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そうしてあの事故から、数日たったある日…。
沙恵は突然学校に来なくなった。
心配になった僕は沙恵の家へ出掛けた。
ピンポーン…
沙恵の家のインターホンを鳴らすとすぐに沙恵のお母さんらしき人が、インターホンから返事をした。
「どちら様ですか?」
「学校の友達の謙一です。」
そう僕が言うと、沙恵のお母さんはちょっと待ってと言い残してインターホンを切った。
数秒後、家の玄関が空いた。
玄関の向こうには…
「沙恵っ!!」
静かに微笑む、僕の大好きな沙恵がいた。
「…あのさ…どうして、学校に来なくなったの…?」
沙恵の部屋に案内された僕は、早速本題を聞いた。
一瞬、沙恵が顔を歪めたのを僕は見逃さなかった。
「うん…実はさ…私…学校でイジメに遭ってたの…。」
―成る程…それで学校へ来なくなったのか…。
僕は納得するとともに、また沙恵を護れなかった自分の腑甲斐なさに打ちのめされ、傷ついた沙恵に何も言ってやれなかった。