court recit

□過保護
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可愛い…いとおしい…愛している…美しい…

だから、君を守りたい。


沙恵…僕の幼なじみ。
僕は沙恵を…好きだ。とても。
沙恵を苛める奴は許さない。
沙恵を苦しめる奴は許さない。
沙恵を傷つける奴は許さない。
沙恵は…僕が守る。


「謙一。一緒に帰ろ?」

「あぁ。いいよ。」

いつも通り、今日も沙恵と一緒に帰る。
帰り道、二人の間の空気は変な感じだ。
ずっと二人は無言のまま、道をただ歩いて行く。
本当は…話をしたいのに…。

「…あのさ…」

沙恵が口を開いた。
沙恵より少し前を歩いていた僕は、後ろを振り返る。
すると、沙恵の後ろからもの凄いスピードで車が突っ込んで来た。

「危ないっ!!!」

咄嗟に沙恵を掴んで、横に跳んだ。
頭の中は真っ白で、自分が何をしたか分からなかった。
ただ…沙恵を守らなきゃ…と思った。

気が付くと、僕は沙恵と道の端に転がっていた。
さっきまで、僕と沙恵がいた所には、後ろから突っ込んで来た車が。
僕は呆然とした。
事故を目撃した人が慌てて電話をしている。

「あの…謙一…?」

隣に座り込んでいた沙恵が声をかけてきて、僕は我に返った。

「あの…謙一…。有り難う。助けてくれて。」

そう僕に言う沙恵は傷だらけだった。

―全然、沙恵を守れていない…。

と、僕は沙恵を見て思った。
そしてこの時、命に代えても沙恵を『護ろう』と決心した。
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