tea party
□さーてぃーんのお茶会5
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さーてぃーんのお茶会5
ヴァニ「度重なる戦闘と野宿で、身も心も疲れ果てていませんか?そんな時、世知辛い孤独を癒してくれるのは、掛け替えのない仲間との友情です」
サッズ「おい、なんか始まったぞ」
ヴァニ「仲間との仲良し度を上げて、悲しみに震える心を温めましょう。と言うわけで………さーてぃーんのお茶会第5回開催―――――!!」
スノウ「はぁ!?」
ホープ「オープニングコメントが出来上がりましたね…」
ファン「ひゅーひゅー。いいぞーヴァニラー」
サッズ「またお前の差し金かッ」
ファン「人聞き悪いんだよ、もじゃもじゃ」
サッズ「もじゃ…!」
ファン「聞いただろ?これは全員の健やかな心身を保つための重要な行事なんだよ」
サッズ「運動会みたいに言うな!」
ライト「すまない、手を貸してくれないか。思った以上に大量で…」
スノウ「あ、義姉さんお帰り」
ホープ「僕手伝いますよ」
ヴァニ「だめだめ、ストーップ!」
ライト「どうかしたのか?」
スノウ「例のあれだよ、お茶会」
ライト「…………」
サッズ「姉ちゃん、顔が引きつったぞ」
ファン「んで、食料は?」
ライト「あ、ああ……向こうの木の実が結構重くて、あの数を1人で運ぶのは難しそうだったんだ。だから…」
ヴァニ「じゃあ、今回の優勝者には木の実運びしてもらおー」
スノウ「なんでそうなる!?」
ホープ「優勝者なのにですか…!?」
ヴァニ「そう。だって今回のお題が、さーてぃーんで一番マニアックなのは誰でしょーだから」
ライト「マニアック…?」
サッズ「どういう事だよ、それ」
ファン「まぁまぁ、わくわくすんのはわかるけど慌てんなって」
サッズ「これはわくわくじゃねえ。おどおどだ!」
ヴァニ「具体的には、異性のドキッとする仕草を1人ずつ発表してもらいまーす!」
スノウ「前回民主的にとか言って投票式にしたのに!?」
ヴァニ「成功に失敗はつきものだよっ」
ライト「それで何故マニアックかどうかが分かるんだ?」
ヴァニ「異性の好みの仕草を聞けば、どんな趣味なのかが分かるじゃない?」
ライト「そうか…?」
ヴァニ「そうだよ。じゃあ最初は………おじさんから!」
スノウ「あれ、俺じゃないのか」
ヴァニ「うん、だってスノウいつも最初嫌そうじゃん?だからおじさんにしてみた」
スノウ「そう言われると……なんかもの悲しいのは何故なんだろう…」
ファン「なんだかんだ、いつも楽しんでるって事じゃねえか?」
スノウ「違う!違うと言いたい…ッ」
ヴァニ「ほら、おじさん早くー!」
サッズ「ちょっと待てって。好きな仕草だろ。えー………やっぱ、あれじゃねえかな、上目遣い」
ホープ「上目遣い…ですか?」
サッズ「まぁ、ホープはまだ身長的にあんまり経験無いかもしれねえけど、上目遣いで頼み事なんかされちまうと、断れねえなぁ」
スノウ「わかんないことはないな」
サッズ「それも無意識に、ってのがミソだな」
ヴァニ「無意識かどうかなんてわかるの?」
サッズ「ああ。こいつ狙ってるなーってのは、だいたい見てればわかるもんなんだよ、男は」
ヴァニ「ふーん」
ファン「普っ通」
ヴァニ「うん、すごく普通」
ファン「つまんね」
サッズ「じゃー聞くなよ!!お前ら俺への態度冷たすぎ!」
ファン「そんな事ないって。サッズに頼み事する時は上目遣いでやればいんだろ?おっけ、覚えた覚えた」
サッズ「やめてくれ、お前にされると逆に怖えからッ!」
ファン「なんでだよ!」
ヴァニ「じゃー次!ライトは?」
ライト「……よく分からない」
ヴァニ「男の人の好みの仕草とかないの?」
ライト「ああ」
スノウ「まぁ、義姉さんはそうかもな」
ホープ「ずっと男性に混ざって戦ってたんですもんね」
ファン「んなわけねーだろ!無いなんて絶対嘘。気付いてないだけだって!よーく考えろライト。ホープを見ててドキッとする瞬間を思い出せば良いんだよ」
ライト「なっ…」
ホープ「議題がすり替わってますよ…!」
ヴァニ「でも、そう言う事だよね。あるでしょ、一個ぐらい」
ライト「そう言われても…」
ヴァニ「ホープといても全っ然ドキッとしないの?」
ライト「そんなことは!……ないが…」
スノウ「義姉さん、顔赤…」
ライト「…ッ!!(どすっ)」
スノウ「ぐふっ!」
ファン「ほら、スノウ殴って誤魔化してないで、ちゃっちゃと答えろ」
ライト「…………笑顔」
ヴァニ「笑顔?」
ライト「色んな笑い方があるが……時々子犬のように、本当に嬉しそうに笑う事があって、それを見ると…」
ファン「母性本能をくすぐられる?」
ライト「………っ」
ヴァニ「あー、でもそれわかるなぁ。同じ笑顔でも、自分の前でしか見せない無防備な顔を見たりするときゅーんってなるよね」
ホープ「―――……」
ファン「真っ赤だぜ、坊や?」
ホープ「え!?あ、いや…っ」
ヴァニ「ホープは?異性のドキッとする仕草」
ホープ「ぼ、僕は…」
ファン「ライトが言ったんだから当然お前も言うよなー?」
ホープ「う……」
サッズ「一種の拷問だよな、これは」
スノウ「思春期の大事な時期なのになぁ…」
ホープ「不意に……触られる時とか…」
ヴァニ「触るって、髪とかに?」
ホープ「髪とか、手を握ったりとかも。すごく嬉しい反面……」
ファン「ライトって意外と触り魔だからな」
ライト「すまない、無意識だったが…嫌なら」
ホープ「違います!嫌なわけないでしょう。そうじゃなくて…」
ヴァニ「わかってあげてよ、ライト。ホープだって男の子なんだから」
ライト「……あ、ああ…」
ファン「絶対分かってないな」
サッズ「ああ。分かってない」
スノウ「頑張れ、ホープ」
ホープ「は、はい…」
サッズ「お前らはどうなんだ?異性の好きな仕草とかあるのか?」
ファン「あたしに男の好きな仕草なんて聞くなよ」
スノウ「そこはなんとか考えようぜ。お前らが持ってきた題目なんだから!」
ヴァニ「私、上腕筋が好き!」
スノウ「え、部位…?」
ヴァニ「なんか、重いものを運ぶ時にムキッてなるあの感じが好きだなー」
サッズ「筋肉フェチか?」
ファン「あたしにだってあるぜ、上腕筋くらい」
スノウ「張り合うな!」
ホープ「ファングさんは、男性には全然ドキッとしないんですか?」
ファン「そんな事はないけどなー。敢えて言うなら……引き際、とか?」
ホープ「引き際?」
ファン「女って結構執念深いだろ?あたしも決めたら譲らない方だし。しゃーねーなって諦めて負けてくれる懐の深さとか見ると、まぁ感心する」
サッズ「そうそう、執念深いんだよ女って」
ファン「うっさい、もさもさ!(げしっ)」
サッズ「いって!同じこと言っただけじゃねえかッ!」
ファン「改めて言われると腹立つんだよ」
ヴァニ「それじゃあ最後、スノウ!」
スノウ「おっ。やっと俺の番か」
ヴァニ「取りにしたんだからちゃーんと良い答え言ってよ?」
スノウ「そんなに変な答えじゃないぜ?」
ファン「いいから言えよ」
スノウ「あくびだ」
サッズ「――――――は?」
スノウ「だから、あくび」
ホープ「あくびが……何?」
スノウ「何って、ドキッとする仕草だろ?」
ファン「お前……女があくびするの見てドキッとすんのか?」
スノウ「ああ」
ヴァニ「な、何で…?」
スノウ「なんて言うか、ああ気を許してくれてんだなぁって実感するって言うか。でっかい口開けてあくびしてるのを見ると…無性に抱き締めてキスしたくなる」
ヴァニ「へ…へぇ…」
ライト「貴様……セラの事もそんな風に見ていたのか」
スノウ「へ?なんかおかしい………ちょ、ちょっと義姉さん!落ち着いて!剣しまってくれ…ッ!!」
ファン「意外なところにいたな、変な趣味の奴」
ヴァニ「うん、これはもう決まりだね。今回の優勝者はスノウってことで!」
スノウ「は!?俺のどこがマニアックなんだよ!?」
ファン「今そうやってライトに剣を突きつけられてるのが何よりの証拠だろ」
ヴァニ「じゃあスノウ、木の実運び行ってらっしゃい!」
スノウ「何でだよ!?別に俺、悪い事何もしてないだろ?!」
ヴァニ「まぁ、悪い事はしてないけど…」
ファン「女としては」
ライト「不愉快だ」
スノウ「なんでだぁぁぁぁ!?!」
ファン「おら、ライトに刺されたくなきゃさっさと行きな!」
ホープ「……追い立てて行っちゃいましたね…」
サッズ「ああ。不憫になぁ…」
ホープ「……あの…」
サッズ「ん?」
ホープ「スノウの言う事……実は僕もちょっと、分かります」
サッズ「……心配すんな、俺も分かる」
ホープ「……そう、ですよね」
サッズ「まぁ、でも。俺達は、黙っていような」
ホープ「……………はい」
完。