雲獄パラレル

□第一部 6
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「何が?」

しかし返ってきた言葉は心底わからないといった感じで、

「・・・食事しながら話すなら
別に俺じゃなくても綺麗な女がたくさんいる。
この着物だってそういう奴が着た方がいいだろうし。
それにあんたは部下に慕われてんだから
食事相手だって探さなくたっているだろ。」

と付け足す。


雲雀はやっと俺の言ってることがわかったみたいで、

「君はなにか誤解してるね。僕は群れるのは好きじゃないよ。
キャーキャーうるさい女なんかと食事なんてしたくないし、
部下とも必要以上には会いたくない。」

と返してきた。
でもそれって今俺とこうしていることと矛盾してないか?

「じゃあ、なんで」

「わからない。
たまたま君が目に留まって、
そしたら君が腹減ったって言うから食事してるだけ。
それと、その着物はそこら辺の女が着るより君の方が似合う。」

じゃあ、なんで俺と食べてんだよ。
と言う言葉は遮られた。
しかも、俺を誉めるようなことを言ってきた。
今の俺を誉めたって雲雀が得することなんか1つもないのに。

「なんだよ、それ。わけわかんね。」

「うん。
僕にも自分がどうして他人と食事してるのかわからない。」

「変なの。」

変なのは俺だ。
正体不明の奴にのこのこついてって、
誉められたことに疑惑よりも嬉しさが勝ってるなんて。


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