雲獄パラレル

□第一部 2
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「ちょっと、僕に付き合ってくれない?」

「俺なんかに声かけるなんてずいぶん寂しい奴なんだな。」

忌み嫌われてる俺に話しかけるなんて、物好きな奴だ。

「そうだね。一人だってことは否定しないよ。」

とりあえず今は食欲さえ満たされれば何でもいい。

「俺、腹減ってんだ。何か奢ってくれよ。」

「いいよ。」

そう言って勝手に『物好き』は歩き出した。
何も言わずに俺も歩き出す。
それはほんの気まぐれで、
でも死なないために生きるだけの俺の何かをこいつは変えてくれるような、
そんな予感がしたから。

着いただだっ広いお屋敷は俺にはひどく不釣り合いで、
『物好き』を出迎えた奴らに変な目で見られるのも無理はない。
『物好き』の言葉によりしぶしぶといった感じで連れてこられた
無駄に大きな風呂に浸かりながら、
『物好き』は一体何者なんだろうと今さらながら考え始めた。


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