雲獄パラレル
□第一部 9
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部屋に2つ布団を並べて寝る。
深夜の静けさの中で、時計の音だけが響いて寝られない。
こんなこと今までしたことがなかったし、
したいとも思ったことなかった。
別に今まで一度も性的関係を持ったことがないわけじゃない。
その後に2人でいることに意味を見いだせなかっただけ。
だって、愛なんてわからないから。
愛してるなんて言葉は仮初めでしかない。
そんな相手と2人でいる価値ってなんだろう。
ひどい、とか、騙したの、とか、
散々言われたけど、僕は全く気にしなかった。
なのになぜ僕はこんなことしてるの?
どうして朝が来なければいいと願っているの?
安らかな寝息をたてる隼人を眺め、髪を起こさないように梳く。
まだ一緒にいられるだろうか。
この感情はきっと、
あの日僕を引き止めようとした人たちと同じ。
愛
それに気づいた瞬間、ストンと僕の中の何かが落ちた。
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