雲獄パラレル

□第一部 9
1ページ/2ページ

部屋に2つ布団を並べて寝る。
深夜の静けさの中で、時計の音だけが響いて寝られない。

こんなこと今までしたことがなかったし、
したいとも思ったことなかった。

別に今まで一度も性的関係を持ったことがないわけじゃない。
その後に2人でいることに意味を見いだせなかっただけ。

だって、愛なんてわからないから。

愛してるなんて言葉は仮初めでしかない。

そんな相手と2人でいる価値ってなんだろう。

ひどい、とか、騙したの、とか、
散々言われたけど、僕は全く気にしなかった。



なのになぜ僕はこんなことしてるの?
どうして朝が来なければいいと願っているの?

安らかな寝息をたてる隼人を眺め、髪を起こさないように梳く。


まだ一緒にいられるだろうか。



この感情はきっと、
あの日僕を引き止めようとした人たちと同じ。




それに気づいた瞬間、ストンと僕の中の何かが落ちた。


.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ