雲獄パラレル

□第一部 4
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side.隼人


風呂から上がると着ていた服はなくなっていて、着物が置かれていた。

見たことはあるけど着たことなんてなかったから、
どうしてもだらしない感じになってちゃんと着れない。

「どうやったら着れるんだよ…」

と呟いて悪戦苦闘。

「上がったなら早く来い。部屋へ案内する。」

と『物好き』の部下(だと思う)の声が扉越しに聞こえてきた。
しかし、今の格好で出られるはずもなく、正直に白状する。

「あ、それが…なんていうか、上がったんだけど、着方わかんなくて…」

「…そうか。入るぞ。」

そう言われ、えっ、とか、あ、とか慌ててるうちに
着物はきちんと着せられていた。

そして、鏡に映る自分を見て、着物との不調和に苦笑する。

綺麗な刺繍の施された紅色の着物は、
艶のある黒髪と白いうなじを持つ上品な女性にはよく映えるのだろうが、
異国の血が色濃くでている自分では
着物のせっかくの良さをすべて台無しにしているように思える。


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