雲獄パラレル
□第一部 3
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side.雲雀
濡れた服を脱ぎ、自分専用に作られた風呂に浸かる。
どうして僕はこんなことしたんだろう。
知り合いですら家に上げるのは好きじゃないのに。
でも、今は不思議と気分は悪くなかった。
風呂から上がり部屋着として愛用している着物へと着替え、
自室に入ると思ったより時間が経ってしまっていたのだろうか、
風呂上がりに着替えさせられたのだろう着慣れない着物を着て
所在なさげに部屋の隅に立っている『彼』を見つけた。
と言っても出会った時の『彼』とは別人のように
(男の子に言うのは変だけど)綺麗になっていた。
くすんでいた髪は本来の銀色の輝きを取り戻し、
肌もつややかだ。
それだけで、なぜか僕は気分が高揚してくるのを感じた。
それは愛情とか思慕とかそんなものじゃなくて、
例えるなら拾ってきたガラクタが
実はとてつもなく高価な物だった、そんな高揚感。
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