雲獄パラレル

□第一部 2
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side.隼人

今日は運悪くスリ損ねて、
もう何日もまともに食ってない体は雨を吸い込んで
どんどん重くなって動く気力はなくなっていた。

何のために生きるのかなんてわからない。
死にたくないから生きてるだけだ。

誰かの足音がどんどん近づいてきている。
いつもならすぐ反応して、
やっかいな連中なら逃げるし、金持ちなら隙を窺うんだけど、
今日は本当に動く気分にはならなかった。

その足音が俺の近くで止まった。

しばらくして、

「ねぇ・・・」

とかけられた言葉に、
反射的に

「・・・なんだよ。」

と返して顔を上げた。
俺に話しかけてきた相手は侮蔑も同情もなく、何の表情もなかった。
しかし、眼だけは鋭いくらいの光が灯っていた。


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