小説
□立食会
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ケータイのアラームと母親の怒声で目が覚めた。
大きく伸びをしながらあくびをするともう一度布団にもぐって寝てしまいそうになる。
駄目だ、と思いながら俺は布団を自ら引っぺがしもう一度あくびをした。
結局、この日立食会の日がきてしまった。
正直、ナガルには悪いが見えない敵と喧嘩をするのは嫌だ。っていうか怖い。
大体、あいつといるとろくなことがない。不幸の塊、それがナガルだ。
「(でも、その分、あいつは不幸なんだよな)」
朝だからか、思考が不安定なものになる。
でもそれだからこそ思い出すものがある。
自分が不幸だからかナガルは不思議といつも笑っていなければいけないほど不幸な女だ。
俺はふわぁと本日三度目の欠伸をして制服のブレザーに腕を通す。
名門校、桜水学園。
よく俺らみたいな社会のゴミが入れたものだ。
笑顔を忘れるんだってナガルは笑ってた。
笑ってなきゃ笑顔を忘れるんだって。
馬鹿じゃねぇの?
無理矢理笑ってなにが楽しいんだよこの馬鹿。
俺には、そうやってナガルに言う権利がある。
俺がアイツを導いてやる。
不幸?知るか。
笑顔を忘れる?知るか!
俺が、お前といる。
それでいいんじゃねぇの?
まぁ、それはただの自己満足でしかないが。