小説

□本気
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「だー・・・馬鹿だからなんにもわかんねぇよ馬鹿だから。」

「だな・・・どーすっよナガル。立食会は明日だぜ?」

「バーカ、立食会には出るよみんなでね。
それまでに犯人を地面にねじ伏せたいんだけど・・・はぁ・・・」

「俺がねじ伏せられたいんだけど。」

「・・・気が向いたらやったるよ。」

「マジでか、いつ気ぃ向く?ねぇ?」










サトシは相変わらず呑気でうらやましい。




私は机に肘をついてため息。大体、どうしてこうなった?
ああ、そうか自分は問題児でその塊のBクラスの中心人物だからですね、わかります。





・・・問題、クラス。








私はバッと起き上がって机の中に無造作に放り込んでいたルーズリーフを引っ張り出す。
そして滅多に開かない筆箱のチャックを開いて一本のカラーペンを取り出した。









「おーっとナガル選手動きましたぁぁあぁぁ!!これは伝説奥義・・・遊びならなんでもできるの発動かぁ?!
サトシさん、どう思いますか!!」

「ふむふむ・・・ほかのことにこの究極奥義を使えばいいとネ、わたすぅは思うんだけどネ。」

「バッカ究極奥義じゃねぇよ伝説奥義だよ」

「あ、やっべ間違えたー。でもナガル気づいてないしセーフじゃね?」

「あ、本当だセフセフ。ラッキーだったなサトシィ」








一回生まれ変わってくればいいと思います。






とにかく私は今考えていることを片っ端からぐちゃぐちゃにメモしていく。
それをスナオが覗き込んで言う。










「お前さぁ、こーいうのは解けるのになんで数学できねぇの?」

「事件の謎解きと数学は別じゃね?」

「いや、同じだろ?わかんねぇけど。」

「そんなことよりサッカーしようぜ!!」

「なんで急にサッカーに目覚めてんの?!っていうかなにそのいきなり某アニメ主人公ばりの笑顔!!」







ガーッとツッコみ、もう一度メモに目を通す。
よし、大体筋は通った。









「で?ナガルは誰がやったと思ったわけ?」

「教員と生徒会はグル。マジナ抜きでね。」

「なんでさ?マジナは会長だぞ?会長抜きで話なんてできんの?」






サトシが素直な感想を述べる。少しは自分で考えろよと思いながら私はメモを持ち上げる。










「できるよ、いくらでもね。大体、生徒会選挙が終わってもう10日立ってる。
マジナ抜きで生徒会4人が集まるなんて造作もないことだよ。」








この学園は、3年生から2人、2年生から2人、1年生から1人生徒会を選抜する。
1年生が選挙の対象となるため、生徒会選挙は必然的に4月の上旬に行われるのだ。

まぁ、1年生から入ったばかりなのに立候補する勇者は今までいなかったようだが。
だから必然的に入試で首席になった生徒が生徒会に入ることになっている。




この前選挙があったばかり。
もちろんマジナが2年から引き続き会長に就任した。
今年は珍しく、2年生は2人とも女子だ。



まぁ、そんなことはどうでもいいんだけれど。








「で?なんで生徒会と教員が絡んで来るんだよ?」

「あんたがもしある大きなイベントの主催者だとする。これは、世界に名をとどろかせるほどの大きな大切なイベント。


もし、そのイベントを邪魔するモノが現れたとあんたならどうする?」

「そりゃ、なにがなんでもねじ伏せて・・・あ!!」






ここでやっとスナオがあることに気がつく。
サトシはまだ首をかしげているが、まぁいい。









「そうか、これがBクラスに問題児が集められた理由!ナガルすっげぇわお前なに?ただのサッカーアニメ厨だと思ってたら天才?

天災と馬鹿は紙一重っつーもんな!」

「あれ?なんかほめられてるのに貶されてる気がする。特に天才のところ天災って言われた気がする。」










問題児が、一箇所に集まってしまえばそれだけ行動のパターンを少なくすることができる。
だから、Bクラスには問題児が固められたというわけだ。








・・・学園の利益を守り、評判を絶やさないために。










「でも待てよ、それならどうしてマジナはBクラスなんだよ?生徒会長で優秀で勉強も運動もなんでもできるんだぞあいつは。」







サトシがふと疑問を口にする。
私もずっと・・・クラスに入ったときから疑問だった。
でも、昨日。


コウちゃんのおかげで謎は解かれた。







「・・・教員でも、マジナが怖い。」

「・・・あぁ、黒魔術。」

「もちろん私もスナオも奴は怖いよ・・・。でも、教員も同じでマジナが怖いんだ。」









コウちゃんが言ってた。



教師だから、言えないけど瀬戸が怖いと。




他の教員も考えているはずだ。
マジナは怖い。自分達の脅威。なら、そうだ。








Bクラスに入れてやろうって。

幸いマジナは進学を望んでいないし、むしろ一般のクラスに来たがった。
それは教師にとって好都合にすぎなかった。












「でも、それなら、なんで警告なんかして俺達を逆撫ですんだよ?
Bクラスは立食会に出るな、って校長の口から言えばいいじゃん。
それに、見えない敵の正体ってー・・・」








そこだけ、まだ、不透明。
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