小説
□僕と君の卒業式
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私は、ある特別な式でしか敷かれないカーペットの上を幼馴染である順と歩いていた。
たくさんのシャッター音、たくさんの人。
鬱陶しいくらいに飾られたステージには卒業証書授与式と堂々と書かれている。
まわりには紅と白の垂れ幕で、その近くには教員と来賓が座っている。
私は隣を歩く、柊 順を見る。
「どう思う?」
ぼそっとつぶやいた言葉に順はかすかに口角を上げて私につぶやいた
「ただウザい」
順がそっと視線を落とす。
私も同感だねと言おうとしたがもう方向転換だ。
私がある椅子の列に入ろうと体を横に向ける。
順も同様だ。
「泣くなよ。」
後ろから聞こえた声を嘲笑って、私は足を前に前にと動かした。
泣くなよ?
誰に言っているんだお前は。