小説
□[一人]になる夢
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「ったく、泣いてたわりには元気じゃんって思ってたけど、やっぱそうでも無かったみたいだな」
そういってレンの両腕はリンの身体を包み込んだ。
自分からもするであろうシャンプーの香りが、何故か落ち着く。
「夢を気にするなんて、リンも女の子なんだな」
「失礼ね…私はいつでも乙女よ…」
「あーそうでしたねハイハイ」
「なんかムカつく…」
レンの髪が頬にあたり、少しくすぐったいけど、[二人とも此処にいる]という事が全身で感じられた。
寂しくない。
怖くない。
悲しくない。
暖かい。
一人じゃない。
「ありがと…レン」
「お礼はデコチューでいいよ??」
「バカいってんじゃないわよ」
抱きついているレンを押して引き離し、さっさと部屋を出る。
…なんか恥ずかしかったから。
「ぁーあ、部屋出てっちゃった。せっかくドサクサまぎれて、抱きついてたのに」
少年は実に残念そうな顔をする。
「…リンがあんな夢みて泣くなんて、よっぽど俺が好きなんだな!!」
さっきとは一変。ニヤけだした。
とてつもなくポジティブな14歳の少年である。