小説
□[一人]になる夢
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レンがいなくなる夢をみた。
君のいない世界は心の半分が欠けてしまったように、怖くて…寂しかった。
[一人]は悲しかった。
寝起きから最悪だよ…
あー、泣いたから目ぇ腫れたし。
こんなんじゃ、泣いたのバレんじゃん。
ウダウダ考えていると突然、ノックの音が聞こえた。
「リーン入るぞ?」
「ちょ…!」
返事なんて聞かないで、勝手に入ってくるレン。
顔を見られないために慌てて布団に潜り込む。
「もう9時だぜ?起きろよ」
布団を剥ぎ取られ、今だに潤んでいる自分の目とレンの目があう。
「リン……泣いただろ」
やっぱりバレた。
「べ…、別に…。ミカンの食べすぎで涙が出てきただけ」
「そんな実例、聞いたことないけど?」
「だから私が第一号なの!」
「バーカ」
ピンっとデコピンをされ、少しヒリヒリとする額。
「さぁ、話してもらおうか??」
「………」
なんて言うべき?レンが消えて寂しかったんですーなんて、私が言えるわけないじゃなぃ。そんなキャラじゃないし?
「もう一回デコピンされたいのか?ちゃっちゃと言えや」
黒くニヤリと笑みを浮かべる。やばい、この展開はやばい…!長年の経験からすると本っ当にやばい。
だってこの笑みのときのレンには勝てた試しがないのよ…
「えーと…なんか夢…でね……うん!」
「全然意味わかんないんだけど??★」
…ちっ。
ヘタレンになりなさいよ…!
「だからぁ…夢で、いろいろあって!」
「幼児にも分かるように説明してよ?」
「あんた幼児じゃないじゃない!!」
…ホントどうしよっかなぁ…
言っちゃえばいいんだけどさぁ…
「ほら早く言えよ」
レンの視線が妙に突き刺さる。
「…ぁあ!!もう良いよ!!言う!!言えば良いんでしょ?」
「うん★」
レンの口角がつりあがったのを、私は見逃さなかった。
また黒レンに負けたー!
「…レンがいなくなる夢をみたの…
アンタがいないと、何かが足りない気持ちになるし…寂しいし怖いし……もう…」
言い始めると止まらなくなった。
「どうしてくれんのよバカぁ…」
レンが悪いわけじゃないぐらい分かってても、誰かにこの気持ちをぶつけたかった。
本当は誰かに大丈夫だよって言ってほしかった。
「…大丈夫だよ。俺はここにいる。リンをおいてくわけないじゃん」
聞きたかった言葉が不安を消し去っていく。