小説
□4年前の約束
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「38.2℃、120%熱だな」
そう言って、前にいる少女の毛布をかけ直す。
ぁあ!リンが熱を出してしまった!
「ご、ごめんレン。
風邪うつるかも…」
珍しくデレた!
熱があるからかっ!?
「ヘーキ。俺の事より自分の心配!
とりあえず寝ろ」
平然をきどって、心中を隠した。
熱あるやつに可愛いなんて言ってる場合じゃないしな…;
彼女を寝かし、俺はベッドの隣にあるリンの椅子に座る。
そしたら突然、4年前を思い出した。
・・ ・・
「……あの[約束]は確か…」
俺らが10歳のときにつくった。
今とは反対。
俺が風邪をひいて、リンが看病をしてくれた時に…
――★――★――4年前――★――★――
「レンっ!死なないでね!?」
俺の額に冷たいタオルをのせながら大袈裟な事を言ってくる。
「熱ぐらいで俺は死なねーよ…」
昔から健康体だった俺が、珍しく熱を出した。
「馬鹿は風邪ひかないっていうのは嘘だったんだねっ」
「俺が馬鹿だって言ってるよな」
ダルいのにツっこませんなよ……
「てか、リン。お前が居ると五月蝿いから、あっち行ってろ」
嘘。
10歳の俺は、既にリンへの気持ちに気付いていて、初恋の相手に風邪をうつしたくなかっただけ。
でも…
リンは騒ぐし、ツっこまなきゃいけないけど…居てくれる事が嬉しかったり。
「…ヤダ。ここにいる」
「は…?」
リンはキッと俺を睨みつけてくる。
え…。怒ってる!?
「私達は2人で1つだもん。
片方が大変な時は助けなきゃいけないんだもん…」
どうしたのコイツ…
「リン?何言ってん…」
「五月蝿いかもしれないけど、喋っていないの心配なの!
実はただの熱じゃなくて、寝てる間に死んじゃうかもしれないじゃん。
レンがいなくなったら私…!」
「リンっ!」
興奮してきてしまったリンを落ち着かせるため、わざと大声をだした。
「落ち着けよ…、さっきも言ったけど俺は熱ぐらいで死なねーてっ!
っつか、死んでたまるか!」
リンは一瞬、ビクっと肩を震わせたが数秒後に落ち着きを取り戻した。
「そうだよね……馬鹿は死なないっていうもんね」
「いわねーよ!」
…ったく…
ヒドイ奴だよなぁ…
…でも
コイツなりに心配してくれてんだよな?
うん、そう信じるぜっ!
勝手に解釈した俺は、テストの時にパッと閃いた時のように、ある事が浮かんだ。
「なあ、リン。
俺、約束はちゃんと守るの知ってるよな?」
いきなりなんだと言わんばかりに俺をガン見し、めんどくさそうに答える。
…さっきの不安娘はどこにいった?
「…うん、知ってる」
「じゃあさ、一生2人で支え合ってくっていう約束しない?
笑う時も一緒。死ぬ時も一緒。」
我ながらマセてんな。
ニコリとリンは笑う。
脈ありっ★
「レンのことだから、いつか忘れそう」
笑顔で言われた。
1番キズつくパターンだ。