小説
□君にあげたチョコは…
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俺は今、強烈に悩んでいる。
今日が何の日か分かるだろ?そう、年に一度のホワイトデー。
で、何で悩んでるかというと、俺は料理が出来ない=作れない=買う。
しっかーし!
リンはバレンタインの日、俺にチョコをくれる時に言っていた。
「買うとか有り得ないから、作ったよ」
って!それって作らないと必然的に俺が有り得ない人間になってしまう…
だから朝から部屋で考えている。
「レンっ!ヒッキー?」
勢いよく俺の部屋のドアが開く。
想い人のいきなりの登場に、心臓ドっクドク。…ビックリしたじゃねーかっ!
「ノックぐらいしろよリン」
「ここ、私の部屋でもあるんだけど」
図星。俺らは同じ部屋。
「だいたいレン相手に何でノックしなきゃいけないのよ」
…まただ。
[弟]扱い。
俺は弟としか見られてない。
俺はいつの間にか、歯をくいしばっていた。
でも俺は…
諦める気は無い。
「レン?」
いきなり黙りこむ俺に心配したのか、リンは顔を覗きこんできた。
畜生、可愛い顔しやがって←
俺はスイッチが入ったように椅子から立ち上がった。
その際にリンと頭がぶつかる。
「ったぁ…」
「絶対振り向かせてやる!」
「…は?」
ポカンとするリン。
俺は決意したんだ。
「部屋からでてくんなよ!」
それだけ言い残しキッチンへ向かった。ミク姉は出かけているから今しかない!
チョコ作るのは!
材料は買ってある。作るかもしれないと思っていたからな。作り方も調べ済みだ!
まぁ、そうは言っても料理が出来ない俺には難しすぎる!
なんだコレ。意味分かんねぇ。
いずれ葛藤は終わり、イビツなチョコの出来上がりっw
リンはまだ部屋にいる。一方的な約束を守ってくれてるようだ。
俺は自分を落ち着かせながら部屋に近づく。
そして静かにドアを開ける。
リンはベッドで寝転がりながら俺の漫画を読んでいた。
「あ!レン何してたのよ」
ダルそうに起き上がるリン。
いけ!俺!
「これ…一応お返し!感謝しろよ!」
チョコの入った袋を差し出す。
リンは不思議そうに俺の顔と袋を見比べ、クスっと笑った。
「ははっ、作ってたの?レン可愛い」
また弟扱いか。
「ありがと…大好き」
この<大好き>は家族としてだろ?
…この時はまだ知らなかった。
[[君にあげたチョコは本命だよ。]]
と思っていたのが、この部屋に
・・
二人いた事を…