FF7

□夢と現
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“まったく××××ったら、ちゃんと見張っていないとすぐ駄目になっちゃうわね”
“ああ、こいつは昔からそうだったよ”
女の横に男が現れて何かを思い出したのか笑う。
“飯なんか平気で抜くし、ろくに寝ないし、そういう点ではオッサンと気があってたな。もうお前らで不健康組合でも作ってろ!みたいなかんじ”
「いいだろ、別に迷惑かけたわけじゃないし。それに食事なんて1日2日抜いたって生きていける」
俺の言葉に2人はそろってため息を吐くと、笑い出した。
“本当に何も変わらないわね”
“ん、大分元の調子になってきたな××××。その勢いで不健康組合の長を助けてやれ。もう×××××も疲れただろうしな”
“そうね、彼も誰かに助けてほしいみたい。ほら、こっち見てる。手でも振ってあげたら”
とても楽しげに彼女が笑うと、男が力いっぱい手を振った。
すると闇にいた男はそっぽを向いてしまった。
男は目に見えて落ち込んでしまい、女はそんな彼の頭を軽くなでた。

「わかった。俺でよければやるよ」
俺がそういうと、男は急に元気を取り戻した。現金なやつだ。
“おっ!さすがオレの相棒、じゃあ頼んだな。ただちょっとてこずりそうだな〜”
“じゃあ、×××××の欠片、××××に埋め込んであげる。ちょっとだけどあるんだよ”
“だったら、オレのも埋め込んでいいか?”
“それはだ〜め”
表情のくるくると変わる二人を見ているとなんだか心があったかくなった。
「2人も変わらないな」
そういうと女が驚いた顔をした。
何か変な事言ったかなっとちょい首をかしげた。
すると彼女はとても幸せそうに笑った。
“ようやく笑ってくれた”
「えっ、俺今笑ったか?」
なんだか恥ずかしくて右手で口元を隠した。
“隠しても無駄だぞ、と”
そういって彼女は俺の顔を覗き込んできた。
じっと見てくる彼女から顔をそらすと、遠くのほうに漂う闇の男が目に映った。闇に捕らえられた男の瞳には闇しか映っていなかった。

彼をみていると突然体が重たくなった。泥の中に沈むように意識ごともっていかれる。
また何も見えなくなり不安になると、誰かが手に触れてきた。
2人のうちのどちらだろう?
その手は暖かかったのでとても安心して、ゆっくりと意識を手放すことにした。
夢うつつに声が聞こえる。
“ゆっくり休んでね×××ド”
“そうだぞ、何しろお前にはあの英雄を救う仕事があるんだしな”
二人の笑う声が耳の奥に届く。
“寝ている間に準備は済ましておくね。起きてしばらくは自分との決着が大変だと思うけど、ほらあなたを心配してくれてる人が沢山いるから、大丈夫だよ。聞こえるでしょ”

―おーい、××ウド。
  ク×××聞こえたら返事しろー!

“そうだな、もうオレたちは必要なさそうだな。ちょっと寂しいな”
“子離れをする親ってこんな気分なのかしらね。私まだ未婚なのにな・・・責任とってよ××××”
もう目を閉じてもそこは闇ではない。
自分には沢山の仲間たちがついているのだから。きっと闇の中に沈みかけた時にはまた掬い上げてくれるだろう。多分ちょっとあきれながら、それでもとても心配しながら。
“さてと、体をここから送り出すからね。ちょっと苦しいかもしれないけど、人里近いからきっと誰かがすぐ助けれくれるだろうから我慢してね”
ゆっくりと押し出されるような感覚を最後に俺の意識は完全に眠りに入った。


「あり・・がと・・・エア・ス・・ザック・・」
“なんだようやく思い出したのかよ”
あきれ声と笑い声で送り出されるというのもなんだかよいものであった。




そして青年は世界と約束を守る旅に出た。

fin
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