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□甘い君
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「ポルタ!どうしてケーキ食べちゃったんだよ」
「そんなところに置いておくお前が悪い」
アジトからまた2人の騒ぎ声が聞こえる。
「僕がせっかくクリスマスに一緒に食べようと思って買ってきたのに」
「また買って来い。今度はもっと沢山な」
怒るカスケを無視して、ポルタはかりんとうを口に放り込む。
「もう売り切れてるよ」
今日は23日、確かにほとんどの店では売切れているだろう。
「じゃあ、お前が作れ」
「もうっ!ポルタってば勝手だな。いいよ僕が作ればいいんでしょ」
そういうとカスケは、財布をつかみアジトから出て行った。
ポルタは次の菓子袋を開いた。


帰ってきたカスケはポルタに挨拶することなく、まっすぐに台所を目指す。
「まったくポルタったら」
カスケは買ってきたものをテーブルに丁寧に置く。どうにか買えたケーキは、ポルタ対策用のかぎ付きの冷蔵庫(現在強化週間中)に入れた。
数件回ったがやはりケーキはほとんどなかった。だがどうにかデコレーションケーキ2つとスポンジケーキ5つが買えた。
これだけではポルタは文句を言いそうなので、カスケはさらにケーキの材料を大量に買い込んできた。
スポンジケーキは後で作ることにして、まずはスポンジを焼くことにした。
何度もケーキを作らされていることもあり、かなり手馴れたものだ。

スポンジを十分に暖めたオーブンに入れると、焼いているその間にスポンジケーキを完成させることにした。
果物を手際よく包丁で切ると、バットに並べる。
大きなボールに生クリームと砂糖を入れるとかき混ぜる。部屋にはいつしか甘い匂いが立ち込める。
カスケはいつしか怒ることも忘れ、ほぼ無心でケーキを作る。

かき混ぜているうちに生クリームが当たりに飛び散るが、カスケは気にも留めず作業を続ける。
やがて甘い匂いに惹かれたのか、ポルタが台所へと入ってきた。そしてテーブルの上の果物をじっと見つめる。
「食べたら、ポルタの分のケーキはないからね」
カスケは後ろを見ることなく言う。ポルタはおとなしく伸ばしかけた手を引っ込める。
「ちっ」
「机の上にあるチョコチップクッキーなら食べても良いよ」
舌打ちしたポルタにカスケが仕方なさそうに言った。ポルタは椅子に座るとクッキーをもそもそとかじる。
台所にはクッキーをかじる音と、生クリームをかき混ぜる音だけが響く。

やがてかき混ぜ終えカスケはボールを机の上に置くと、スポンジケーキを飾りつけ始めた。
果物を中に挟むとクリームをたっぷりとつめふたをする。それにクリームでまわりを覆い、果物をデコレートする。
その要領で次々とケーキを仕上げていく。
まもなく5つのケーキが机の上に並んだ。
そのケーキをまた冷蔵庫の中にひとつずつ運び込み保管する。
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