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□夜のケーキ屋
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エドがこの街に帰ってきた。
ハボックが通勤中に見かけたらしい。
ロイは執務室の自分の机に向かい、本日何度目かわからないため息を吐く。
逃げたい。
力一杯、本能の赴くままに逃げたい。
しかしつかまったときのことを考えると下手に逃げるわけには行かない。
前捕まった時にはお仕置きと称して、朝まで抜かずに犯され続けた。次の日には動くことすらできなかった。
おもちゃを入れて一日中過ごされたことや、コスプレを無理矢理させられたこともあった。エドは機会さえあれば散々ロイをいたぶるのだった。
だから仕方なくロイはため息を吐きながら、小悪魔が来るのを待っているのだった。

ばたばたばた バタン。
勢いよく執務室の扉が開けられた。
「大佐いるか?」
「兄さん、そんなに早く走らないでよ」
現れたのはやはりエルリック兄弟だった。
ロイは本日で一番大きなため息を吐いた。
「今回は帰るのが早かったな」
「大佐に早く会いたかったものでね」
にやりと笑いかけて問う。
「今日は大佐の家に泊まってもいいか?」
「君達2人泊めるくらいの部屋はあるぞ」
弟がいればさほど無茶はしないだろうと思い許可してみた。
「僕は良いです。宿に部屋とってありますし、2人を邪魔するほど野暮じゃありません」
しかしそんな計画はさっそく崩された。
「オレは兄さん思いの弟を持って幸せだな」
「アハハハ。後で話聞かせてね。次の原稿エドロイで出すんだから」
「ああ、ちゃんとくわしく裏の裏まで聞かせてやらあ」
「じゃあ、僕はリザさんと新刊の打ち合わせに行ってくるね」
アルは問題ありの台詞を吐きまくると部屋を出て行った。
エドはそれを見送った後、ロイの机の上に腰掛ける。
「夕飯は大佐の手作りな」
「何が食べたいんだ?」
「大佐v」
悪戯っぽく笑いながら言う。
「って言いたいところだけど、大佐の作ったものならなんでもいいや。ただしデザートはもちろん大佐な」
エドはそれだけ言うとウインクを一つして、部屋から去っていった。
「大佐の家で又会おうな」
そしてロイはまたため息を吐くのだった。
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